統合生命科学特論Ⅴ
高次生命機能の至近要因と究極要因―

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
安達 卓 教授 2 M 第1学期 2

授業の目的・内容

我々ヒトの細胞は、少なく見積もっても1秒間に10万個死んでいると言われています。これらの細胞は必ずしも老化や傷害のために死んでしまったのではなく、むしろ積極的に死に向かう場合も多く、これらの現象を合わせて細胞死(cell death)と総称します。本講義では、この細胞死の至近要因と究極要因に関して総合的に解説し、前半では特に、細胞死の基本的な仕組とその広範な役割を、後半では主にショウジョウバエによって先駆的に解明された個体発生時のダイナミックな細胞間相互作用を紹介した後、その中で細胞死の果たしている役割を解説します。

授業計画

1 細胞死の一般論1:細胞死の目的と仕組
2 細胞死の一般論2:センチュウとショウジョウバエ 
3 細胞死の一般論3:細胞死におけるミトコンドリア
4 細胞死の応用論1:癌と神経変性における細胞死
5 細胞死の応用論2:テロメアと幹細胞
6 細胞死の応用論3:細胞死が関与するその他の疾病
7 細胞死の応用論4:細胞死の類似現象
8 細胞死の応用論5:オートファジー
9 社会生物学1:利他的細胞死と社会生物学的視点
10 社会生物学2:利他的形質の至近要因と究極要因
11 個体発生の細胞社会学1:シグナルと転写が司る発生
12 個体発生の細胞社会学2:モルフォゲンによる位置情報形成
13 個体発生の細胞社会学3:器官のアイデンティティー形成
14 個体発生の細胞社会学4:分化異常修復と再生現象
15 自主研究

授業方法

講述とパワーポイント資料を用いた授業を行う。

成績評価の方法

第1学期(学期末試験):30%
中間テスト:30%
レポート:20%
平常点(出席、クラス参加、グループ作業の成果等):20%
出席と授業に対する姿勢、中間試験と期末試験、ならびにレポートによって、総合的に評価します。

教科書

テキストは使用せず、毎回資料を配布する。

参考文献

辻本 賀英『細胞死・アポトーシス集中マスター』(バイオ研究マスターシリーズ)、羊土社2006年、ISBN=9784897069401
三浦 正幸『細胞死研究 総集編』(実験医学 増刊号)、羊土社2010年、ISBN=9784758103060

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。