舞台・映像芸術A
入門西洋演劇史―

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
八木 雅子 講師・他
4 通年 4

授業概要

「舞台芸術」と聞いて身近に感じる人はどれくらいいるでしょうか。難しそう、敷居が高い、情報が少ない、何よりチケットが高くて行けない、という人も少なくないでしょう。どうやら日本では舞台芸術はメインストリームの文化の地位を与えられてはいないようです。しかし「舞台芸術」あるいは「演劇」は、洋の東西を問わず、太古の昔から人とともに存在し、社会のさまざまな側面といろいろなつながりを持ってきました。演劇を知らずして歴史や社会は語れないと言っても過言ではありません。あるいはノーベル文学賞受賞者リストに多くの劇作家がその名を連ねていることをご存知でしょうか。劇文学は、少なくとも欧米諸国では、知っているべき教養の一つと言えます。その一方で、戯曲は劇文学である前に、舞台(上演)の設計図、基盤、核となるものであって、演劇のすべてではありません。生身の俳優によって演じられ、同じ時と場所を共有する観客がそれを生(ライブ)で見る「実演芸術(パフォーミング・アーツ)」になってはじめて「演劇」「舞台」と呼ばれます。さらに、美術や音楽など諸芸術とさまざまな技術力が結集して生み出される総合芸術でもあります。
この授業では、こうした演劇の特質を踏まえ、古代ギリシャから今日に続く「西洋演劇の歴史」を通して、舞台芸術を学んでいきます。

到達目標

演劇を形成する様々な要素に目を向け、また演劇を育み演劇に呼応した各時代背景を意識しながら、西洋演劇の流れを理解します。
演劇はこれまで実にさまざまな文化的源泉になってきました。日本を含む現代の多くの芸術文化、ひいては社会を理解する上で、演劇の歴史は不可欠な知識です。しかし、高等学校までの日本の教育では、演劇について学ぶ機会がほとんどありません。その隙間を埋める一助となるのがこの授業です。
さらに、知識に裏打ちされた批評眼を持った観客は、より優れた舞台芸術の創造を促すことができます。舞台芸術をより楽しむためにも役立つことでしょう。ひろく表象芸術を学ぼうとする学生はもちろん、一般に知っているべきものとして、演劇史を学んでほしいと考えています。

授業計画

1 イントロダクション
2 古代ギリシャ・ローマの演劇(1)
3 古代ギリシャ・ローマの演劇(2)
4 中世演劇(1)
5 中世演劇(2)
6 シェイクスピアとエリザベス朝演劇(1)
7 シェイクスピアとエリザベス朝演劇(2)
8 ルネサンス劇場とバロック演劇
9 コメディア・デラルテ
10 フランス古典主義演劇(1)
11 フランス古典主義演劇(2)
12 イギリス17-18世紀演劇
13 フランス18世紀演劇
14 授業のまとめ
15 予備日
16 ドイツ18-19世紀演劇
17 フランス19世紀 メロドラマからロマン主義へ
18 自然主義とリアリズム演劇
19 チェホフとモスクワ芸術座
20 反リアリズムの演劇(1)象徴主義
21 反リアリズムの演劇(2)象徴主義
22 ロシアアヴァンギャルドとプロレタリア演劇
23 ドイツ表現主義・構成主義
24 叙事演劇とブレヒト
25 戦後フランス演劇(1)
26 戦後フランス演劇(2)ベケット
27 戦後英米演劇
28 現代演劇(1)+授業のまとめ
29 現代演劇(2)+授業のまとめ
30 総括
授業内容は変更される場合があります。

授業方法

講義形式

準備学習

一般的な西洋史・文学史の知識があれば特にありませんが、演劇史の概説本などに目を通しておくとわかりやすいでしょう。

成績評価の方法

第2学期(学年末試験):50%(課題を学生が事前に準備して行うもの。)
平常点(出席、クラス参加、グループ作業の成果等):25%
各学期末に授業内で行うおさらい確認テスト:25%(講義のまとめと学生の理解度の確認を目的に、配布資料・ノート持ち込みで行うもの。)
授業をちゃんと受け、課題をきちんと準備すれば最低限合格します。成績の優劣は各結果の内容(達成度)次第です。

参考文献

教場で指示する。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。