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※日本文学特殊研究
―山東鶏告の研究――
担 当 者 |
単 位 数 |
配当年次 |
学 期 |
曜 日 |
時 限 |
光延 真哉 講師
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4 |
4 |
通年 |
木 |
2 |

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曲亭馬琴が山東京伝の弟子であったことは著名であるが、馬琴以外にも京伝の弟子は存在した。その1人が山東鶏告(けいこう)である。鶏告は海辺汐風(うみべのしおかぜ)の号を持つ築地の狂歌師で、その著作物は天明六年(1786)から寛政初年まで確認できるが、現在ほとんど研究が進んでいない作者である。
そこで、本授業ではまず寛政元年(1789)刊行の黄表紙『江戸花俳優贔屓(えどのはなやくしゃびいき)』を精読する。同作は江戸歌舞伎を代表する名作「助六」(現行名題:『助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)』)を題材に、助六と揚巻の体が入れ替わってしまうことを趣向とした作品である。「助六」のパロディ物黄表紙としては師の京伝作の『新板替道中助六(しんぱんかわりましたどうちゅうすけろく)』(寛政五年〈1793〉刊)が著名であるが、それとも比較しながら黄表紙というジャンルの特性を理解したい。
次いで、『両国信田染(りょうごくしのだぞめ)』(天明六年刊)、『化物楽屋異牒( ばけものがくやいちょう)』(同七年刊)、『葉手嫌息子好々(はでぎらいむすこのすきずき)』(同七年刊)、『今日現金湯起請(こんにちげんきんのゆきしょう)』(同八年刊)といった未翻刻の鶏告の黄表紙作品を読み、鶏告についての知見を深めていく。

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・平仮名を中心に版本のくずし字を読みこなせるようになる。
・歌舞伎「助六」の内容を正確に理解し、それがどのようにパロディ化されるのかを考察することにより、黄表紙という江戸文学のジャンルの特性を学べる。
・現在研究がほとんど進んでいない山東鶏告という作者についての知見を得ることができる。

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1 |
ガイダンス |
2 |
『助六由縁江戸桜』鑑賞1 |
3 |
『助六由縁江戸桜』鑑賞2 |
4 |
『助六由縁江戸桜』鑑賞3 |
5 |
『江戸花俳優贔屓』上巻・第1丁 |
6 |
『江戸花俳優贔屓』上巻・第2丁 |
7 |
『江戸花俳優贔屓』上巻・第3丁 |
8 |
『江戸花俳優贔屓』上巻・第4丁 |
9 |
『江戸花俳優贔屓』上巻・第5丁 |
10 |
『江戸花俳優贔屓』中巻・第6丁 |
11 |
『江戸花俳優贔屓』中巻・第7丁 |
12 |
『江戸花俳優贔屓』中巻・第8丁 |
13 |
『江戸花俳優贔屓』中巻・第9丁 |
14 |
『江戸花俳優贔屓』中巻・第10丁 |
15 |
『江戸花俳優贔屓』下巻・第11丁 |
16 |
『江戸花俳優贔屓』下巻・第12丁 |
17 |
『江戸花俳優贔屓』下巻・第13丁 |
18 |
『江戸花俳優贔屓』下巻・第14丁 |
19 |
『江戸花俳優贔屓』下巻・第15丁 |
20 |
『両国信田染』上巻 |
21 |
『両国信田染』下巻 |
22 |
『化物楽屋異牒』上巻 |
23 |
『化物楽屋異牒』下巻 |
24 |
『葉手嫌息子好々』上巻 |
25 |
『葉手嫌息子好々』中巻 |
26 |
『葉手嫌息子好々』下巻 |
27 |
『今日現金湯起請』上巻 |
28 |
『今日現金湯起請』中巻 |
29 |
『今日現金湯起請』下巻 |
30 |
まとめ |

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『江戸花俳優贔屓』については、1回の発表につき1丁を担当して翻刻と語釈をつける作業を行ってもらう。第20回以降については、1回の発表につき1巻分(5丁)を担当して翻刻を行ってもらう。

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教科書の該当箇所のくずし字を各自で翻刻して授業に臨むこと。

- レポート:50%(発表資料の訂正版を提出。発表時に出た意見を反映させつつ、どの程度追加調査を行ったかを評価する。)
- 平常点(出席、クラス参加、グループ作業の成果等):50%(議論にいかに積極的に参加したかを評価する。学部の授業の基準で評価する。)

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郡司正勝校注『歌舞伎十八番集』(日本古典文学大系98)、岩波書店、1965年、ISBN=9784000600989
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諏訪春雄編著『助六由縁江戸桜・寿曽我対面』(歌舞伎オン・ステージ17)、白水社、1985年、ISBN=9784560032879
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『洒落本大成 第14巻』、中央公論社、1981年、ISBN=9784124007640
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延広真治監修・山本陽史編『山東京伝』(シリーズ江戸戯作)、桜楓社、1987年、ISBN=9784273021610
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第1回目の授業に必ず出席のこと。