※日本文学史特殊研究 
書誌学入門―

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
石澤 一志 講師 4 4 通年 5

授業概要

江戸時代以前の日本の古典籍(和古書)に関する知識を習得することを目的とする。
 
モノとしての「本」は、一見したところ、何も語らない。
 
しかし本当は饒舌に、様々なことを語っている。
その声は誰にでも聞くことが出来る。また聞こえてくる。
 
けれどもそれは、その声を「聞こう」と、
耳を傾けようとする人にしか、聞こえないものでもある。
 
聞こえてくるその声に耳を傾け、その声に従えば、
いままで目の前にありながら、見えなかったものが見えてくる。
 
それはモノとしての「本」がわかるようになるというだけではなく
そこの中に書かれた内容について、より深く理解出来るようになることを意味する。
 
最終的には、本とそれを伝えてきた人たちの息づかいを感じられるところまで、深めたい。

到達目標

日本の古典籍(和古書)についての知識を身に付け、それを適切に取り扱えるようになる。
古典籍から必要な情報を取得し(書誌調査)、それを他者に対して伝えることが出来る(報告)。

授業計画

1 本講義のガイダンス ― 書誌学とは (講義)
2 古典籍の扱い方の基礎 (講義)
3 書誌の取り方の基礎 (講義)
4 書物の要素①;表紙 (演習・講義)
5 書物の要素②;見返し (演習・講義)
6 書物の要素③;料紙 その1 (演習・講義)
7 書物の要素④;料紙 その2 (演習・講義)
8 書物の要素⑤;料紙 その3 (演習・講義)
9 装訂のさまざま① 巻子本 (演習・講義)
10 装訂のさまざま② 折本 (演習・講義)
11 装訂のさまざま③ 冊子 その1 (演習・講義)
12 装訂のさまざま④ 冊子 その2 (演習・講義)
13 装訂のさまざま⑤ 冊子 その3 (演習・講義)
14 書物の伝来 奥書・識語① (演習・講義)
15 書物の伝来 奥書・識語② (演習・講義)・まとめ
16 書物の成立 序・跋① (演習・講義)
17 書物の成立 序・跋② (演習・講義)
18 図書館・文庫① (演習・講義)
19 図書館・文庫② (演習・講義)
20 図書館・文庫③ (演習・講義)
21 図書館・文庫④ (演習・講義)
22 図書館・文庫⑤ (演習・講義)
23 諸本・伝本① (演習・講義)
24 諸本・伝本② (演習・講義)
25 諸本・伝本③ (演習・講義)
26 諸本・伝本④ (演習・講義)
27 古筆切① (演習・講義)
28 古筆切② (演習・講義)
29 古筆切③ (演習・講義)
30 本講義のまとめ ― 書誌学とは (講義)
3回目までは概説的講義を行う。
それ以降は演習要素も取り入れる。
 
1回の講義の内、
前半で受講生諸君に発表報告をしてもらい、
後半でそれに対するコメント、関連する事項についての補足説明、
そして講義を行う、というスタイルを基本とする。

授業方法

担当者を決め、実際に古典籍の調査報告・発表をしてもらい、それに関連した説明を行う、
という形で講義を進める。演習的な要素を多分に含むことを、承知しておいていただきたい。

準備学習

テキストは、事前に通覧しておくこと。また講義に際して、テキストを携行のこと。

成績評価の方法

レポート:50%(第2学期のみ)
平常点(出席、クラス参加、グループ作業の成果等):50%(受講態度・演習発表内容)
受講態度、演習発表の内容、および学期末レポート(講義内で説明)により、総合的に評価する。基準は学部の授業のものとする。

教科書

堀川貴司『書誌学入門 古典籍を見る・知る・読む』、勉誠出版2010年、ISBN=978-4-585-20001-7
各回講義内において、適宜使用する。よって、毎時間持参のこと。

参考文献

講義内に於いて、随時紹介する。

履修上の注意

履修者数制限あり。(10名)
第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

単に講義だけではなく、演習も行うこと(実際に古典籍に触れ、それを取り扱うこと)を、
承知しておいて頂きたい。
 
主に近世以前の、古典文学を専攻する学生を想定した講義内容にしてあるが、
近現代文学、および国語学・日本語学専攻の学生諸君の受講も歓迎する。
 
受講者各位の、積極的な授業参加を期待する。