一般経済史

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
眞嶋 史叙 教授 4 1~4 通年 3

授業概要

「豊かな」国で日常生活を送っている現代の学生達に、以下のような問題意識をもって、ミクロ・マクロ経済学の応用編としての経済史学に取り組んでもらいたいと思います。1) 工業化社会はどのように発達してきたか。なぜ英国で工業化が始まったのか。2) 経済発展における政府や政治の役割はどのようなものであったか。3) 技術革新そして経済成長の要因は何であったか。4) なぜ世界の一部の国々は他に比べて経済的に裕福であるのか。5) グローバル化における消費や文化の役割はどのようなものであったか。

到達目標

10世紀から21世紀までの世界の経済の発展過程を学び、様々な経済史家・歴史家・経済学者の見解の共通点と相違点をふまえた上で、自らの考えを持って、適切な論述法により議論ができるようになること。

授業計画

1 グローバル経済史の手法(1)「豊かな」国と「貧しい」国とは? Happiness の経済学
2 グローバル経済史の手法(2)経済史学の伝統と最近の動向
3 グローバル経済史の手法(3)経済史学における経済学の応用
4 大いなる分岐:「豊かな国」と「貧しい国」のルーツをたどる
5 地理的・歴史的背景:ユーラシア大陸の東西
6 アジアの帝国
7 ヨーロッパの暗黒時代
8 西洋の勃興:最初のグローバル化
9 世界貿易と新大陸の銀
10 重商主義の時代
11 産業革命:なぜイギリスではじまったのか
12 産業革命と世界貿易
13 工業化の標準モデル:ドイツとアメリカのキャッチアップ
14 ミニレポートの返却および解説・質疑応答
15 学期末レポートに関する指導(テーマ選び・執筆体裁指導・文章表現力指導)
16 持続的経済成長の要因(1)アダム・スミス的経済成長
17 持続的経済成長の要因(2)マルサスの罠とボーズラップ的経済成長
18 持続的経済成長の要因(3)シュンペーター的経済成長
19 持続的経済成長の要因(4)ソロー的経済成長
20 世界的分業とグローバル化
21 偉大なる帝国:インドの工業化の挫折
22 南北アメリカ:なぜ南北格差が生じたのか
23 アフリカ:なぜ貧しいままなのか
24 後発工業国と標準モデル:帝政ロシアと近代日本のキャッチアップ
25 戦争と脱グローバル化
26 ビッグプッシュ型工業化
27 植民地の独立とグローバル化
28 21世紀のグローバル化と持続的経済成長
29 ミニレポートの返却および解説・質疑応答
30 学年末試験の説明・試験対策勉強法の指導
特に専門的知識を必要とはしませんが、経済的また歴史的なモノの考え方ができると有利です。需要と供給、比較優位、限界費用などの経済概念を利用するので、聞きなれない学生は入門経済学概説書を参照すること。また、参考文献・レポート・筆記試験の詳細に関しては、授業ウェブサイトをも参考にすること。

授業方法

講義形式

準備学習

事前に教科書の該当箇所を読んでおくこと(約30分)。

成績評価の方法

第2学期(学年末試験):40%(詳しくは授業時に説明します。)
レポート:30%
ミニレポート×6回程度:30%

教科書

R. C. アレン『なぜ豊かな国と貧しい国が生まれたのか』、NTT出版2012
R. C. Allen, Global Economic History, Oxford University Press, 2011
R. Findlay and K. H. O'Rouke, Power and Plenty, Princeton University Press, 2007
特に購入する必要はありません。その他、参考文献表は授業時に配布します。

参考文献

R. Cameron and L. Neal, A Concise Economic History of the World, Oxford University Press, 2003
R. C. Allen, British Industrial Revolution in Global Perspective, Cambridge University Press, 2009
Niall Ferguson, Civilization: The West and the Rest, Penguin Press, 2011
Jeremy Paxman, Empire: What Ruling the World Did to the British , Penguin Press, 2011
R. キャメロンとL. ニール『概説 世界経済史 I と II』、東洋経済新報社2013
N. ファーガソン『文明: 西洋が覇権をとれた6つの真因』、勁草書房2012
その他、授業時に指示します。