医療システム論

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
遠藤 久夫 教授 2 3~4 第1学期 2

授業概要

医療は生活をする上で必要不可欠なシステムであり、高齢化の進展に伴いその重要性はますます増している。しかし、一方で40兆円を超える国民医療費の負担をめぐって大きな制度改革が行われている。また、高齢化に伴ってこれまでの急性期医療中心の医療、病院完結型の医療から長期療養型の医療、医療と介護の連携、在宅医療の推進など医療提供体制も変革しなければならない。本講義ではわが国の医療システムの特徴と課題、および現在取り組まれている医療制度改革について解説、検討する。尚、講師は「中央社会保険医療協議会(中医協)」会長や「社会保障審議会医療保険部会」部会長、「社会保障制度改革国民会議」議長代理等、政府の多くの審議会に参加し、医療政策に深く関与してきたため、実際の医療制度改革についてたいへん詳しい。医療制度のみならず福祉や社会保障に関心のある人には有益な講義となる。

到達目標

医療制度の特徴、課題、医療制度改革の内容について理解を深め、実際の医療の在り方について自分としての意見を持てるようにする。

授業計画

1 わが国の医療保険制度の特徴と課題
2 わが国の医療保険制度の歴史的推移
3 医療保険制度の国際比較
4 少子高齢化と医療費抑制政策1:医療費のコントロール政策の実態
5 少子高齢化と医療費抑制政策2:高齢者医療制度の特徴と課題
6 診療報酬体系の特徴:公定価格と支払方式が医療に与える影響とは 出来高払いと包括支払い
7 診療報酬の決定メカニズムとトピックス:医療の値段の決め方と課題 療養病床の支払い方式 DPC対象病院の支払い方式
8 薬価基準制度の特徴と課題:薬の公定価格の決め方
9 混合診療解禁論について:賛成論と反対論
10 わが国の医療提供体制の特徴と歴史的推移:病床過剰と病床規制 病院の機能分化と連携
11 医療における市場原理と計画原理:緩和すべき規制と強化すべき規制
12 医療制度改革1
社会保障・税一体改革と医療制度
13 医療制度改革2
社会保障制度改革国民会議
14 医療制度改革3
地域医療ビジョン
15 理解度の確認
受講生の関心、現実の医療政策の動向によっては上記の講義内容は変更される可能性がある。授業が重要なので毎回出席をとる。

授業方法

講義形式。

準備学習

受講生にとっては初めて聞く内容が多いと思われるので、毎回復習をしっかり行うこと(約30分)

成績評価の方法

第1学期(学期末試験):50%(事前に複数の設問を提示し、試験はその中から出題する。)
レポート:20%(2回小レポート課題の提出を求める。)
平常点(出席、クラス参加、グループ作業の成果等):30%(出席状況を評価する)
①試験(事前に複数の設問を提示し、試験はその中から出題する)50%、②小レポート(2回)20%、③出席状況30%で、総合評価する。
この科目は、学部生が受講できる大学院科目であり、学部生および博士前期課程の学生は授業の内容が十分理解されているかを成績評価基準とする。博士後期課程の学生はより専門的な内容が理解されているかを成績評価基準とする。

教科書

教科書は使用しない。毎回、資料を配布する。

参考文献

適宜授業で指示する。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

学部と共通科目。医療、介護、財政、社会保障等の問題に関心のある人は是非受講してほしい。
オフィスアワー:月曜12時30分ー50分、研究室(東二号館1002号)