経営学特殊講義(システム思考入門)
問題解決のための方法論―

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
児玉 公信 講師 2 3~4 第1学期 5

授業概要

 システム思考でいう”システム”は,人間や組織を含んだ複雑系を指します。その特徴は,目的に対して常に問題状況を抱えていることと,その問題状況に対して“正しい”と証明できる解決策が存在しないことです。しかし、一般社会ではこのような状況は普通であり,にもかかわらず問題を解決しなければなりません。そしてその解決策の案は,関係者間での合理的な合意形成が必要となります。
 本授業の目的は,対象のシステムを参与観察し,問題を探りながら解決策について合意し,実施結果を評価し、再度解決策を設計する方法(ソフトシステム方法論)を理解することです。この方法を用いて,社会や組織のシステムの問題構造をあぶり出し,意見調整により合意形成を図り,実行計画を立てる。このような問題解決法は,社会生活においてきわめて有用です。講義とグループワークによって,このプロセスを体験し,上記の方法にアプローチします。

到達目標

ソフトシステム方法論について理解し、簡単な問題について解決のアクションがとれるようになる。
因果ループ図、もの・こと分析について理解し、システムアプローチの多様性について説明できるようになる。

授業計画

1 システムとは何か(オリエンテーション):一般システム理論についての導入
2 ソフトシステムズ方法論(全体):ソフトシステム方法論を概観します
3 ソフトシステムズ方法論(リッチピクチャ):システムをさまざまな観点でとらえてみます
4 ソフトシステムズ方法論(合意形成):グループ討議によりシステムに対する理解を共有します
5 ソフトシステムズ方法論(概念行為モデル):あるべきシステムを設計します
6 ソフトシステムズ方法論(行動計画):概念行為モデルの行為を実現するための計画を立てます
7 因果ループ図(ビールゲーム):システムの動的側面を体感するゲームを行います
8 因果ループ図(システム原型):システムのパタンを理解します
9 ソフトシステムズ方法論(因果ループ図によるリッチピクチャの補完):動的側面を加味して,システムの理解を深めます
10 ソフトシステムズ方法論(総合演習):全体を通して演習します,中間課題を出します
11 「もの・こと」分析(作業ゲーム):作業効率を考えるためのゲームをします
12 「もの・こと」分析(仕事の設計):仕事の流れを設計方法を導入します
13 システムの構想:問題が解決された状態をシナリオで表現します
14 「もの・こと」分析(機能の設計):仕事の遂行を助ける機能を設計します,最終課題を出します
15 自主研究
演習の結果や進み具合で、授業内容は若干変更されることがあります。

授業方法

講義とグループワークを繰り返し行うことで,気づきを促します。「大福帳」を用いて,講師からのフィードバックを行います。

準備学習

自分が関わっているシステム(授業、大学、クラブ活動、アルバイトなど)におけるさまざまな問題について観察し、その状況を何らかの形で記述しておくこと。

成績評価の方法

平常点(出席、クラス参加、グループ作業の成果等):30%(授業での質疑,グループ討議,授業への貢献など)
中間レポートと最終レポート:70%(方法論の実践報告の質を見ます)

教科書

毎回レジュメを配布します。

参考文献

P. Checkland(高原康彦ほか訳)『新しいシステムアプローチ』、オーム社1985年、ISBN=9784274020964
『学習する組織』、英治出版2011年、ISBN=978-4862761019
中村善太郎『シンプルな仕事の構想法』、日刊工業新聞社2003年、ISBN=978-4526051999
自主研究する際に参考にしてください。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。