現代地域事情 講義(4)
スイス文化史―

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
佐藤 るみ子 講師 2 1~4 第2学期 3

授業概要

ヨーロッパの小国の中で、多言語国家として現代も特異な存在を示すスイス連邦共和国について、文化史的側面からその成り立ちを追ってみる。13世紀に端を発するこの国は、当初から他の国々とは異なる様相を呈してきている。そこでヨーロッパ史の中でどのようにその存在が認識・確立されてきたのか、周知の内容も含め紹介し、スイスという国の理解につなげてゆく。

到達目標

ヨーロッパにおける特殊な国の一つと言えるが、文化史の立場から幾つかの要因を見てゆくことで、ヨーロッパの一員であることや、日本での一般的イメージと異なる点があることを実感してもらう。

授業計画

1 はじめに;スイス連邦共和国(原語)の名称の由来
2 古代のスイス;ローマ時代の遺跡に見る人々の活動状況
3 ヨーロッパのキリスト教化とザンクト・ガレン修道院の役割
4 スイスとアルプス山脈の関係
5 国家的英雄三人について;歴史的意味
6 近世スイスの知識人;自然科学分野の先駆者たち
7 宗教改革期のスイス;亡命者と産業
8 傭兵稼業;その背景と実態
9 紋章と隊旗の由来と役割
10 各地の祝祭行事;クリスマス、復活祭ほか
11 国内・国外移住;過去と現代の相違
12 ヨハンナ・シュピリの時代;女性と学問
13 スイスの文化人;芸術家、作家ほか
14 まとめ
15 自主研究
授業毎の内容は異なるが、それぞれ関連事項であり、全体把握の足がかりとなることを留意して受講すること。

授業方法

可能な限り図版や動画を用い、視覚的に内容補完を行う。毎回最後に当日の授業テーマに沿ってリアクションペーパーを書いてもらい、次回それに関する補足説明を行う。質問内容によっては、シラバスとは異なる内容を扱う可能性もある。

準備学習

ヨーロッパ史の基礎的知識を必要とするため、テーマに該当する時代について、事前に周知しておくこと。

成績評価の方法

レポート:35%(授業内容から各自テーマを選択。授業が反映された考察であること。)
平常点(出席、クラス参加、グループ作業の成果等):65%(毎回の授業後提出するリアクションペーパー。)
学期末提出のレポートは、参考文献のまとめではなく、授業内容を反映した考察であること。平常点については、リアクションペーパーから、授業への理解度・参加度を判断。

参考文献

森田安一(編)『スイスの歴史と文化』、刀水書房1999年、ISBN=9784887082355
U.イム・ホーフ(著)、森田安一(監訳)『スイスの歴史』、刀水書房1997年、ISBN=978488708207X
森田安一『物語 スイスの歴史』(中公新書1546)再版、中央公論新社2004年、ISBN=9784121015464
クリストフ・ビュヒ/片山淳子(訳)『もうひとつのスイス史』、山川出版社2012年、ISBN=9784887083950
フォーグラー(著)、阿部謹也(訳)『修道院の中のヨーロッパ - ザンクト・ガレン修道院にみる』、朝日新聞社1994年、ISBN=9784022568100
宮下啓三『ウィリアム・テル伝説』、日本放送出版会1979
高橋健二『シュピーリの生涯』、弥生書房1972
スイス文学研究会(編)『スイス文学叢書 1-4巻』、早稲田大学出版部1977-80
S.ムール『危機のユグノー 17世紀フランスのプロテスタント』、教文館1990
鈴木直志『ヨーロッパの傭兵』(世界史リブレット80)、山川出版社2003年、ISBN=9784634348004
ラインハルト・バウマン/菊池良生(訳)『ドイツ傭兵の文化史』、新評論2002年、ISBN=9784805764

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

ヨーロッパの歴史全般の基礎知識があること。前期の「現代スイス」を受講している方が、より理解しやすい。