文学・文化コース 専門演習(3)
ナチスと映画―

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
荒井 泰 講師 2 3~4 第1学期 2

授業概要

ナチスがマスメディア、とくに映画を使ってたくみなプロパガンダ政策を展開したことは知られています。たとえば映画監督レニ・リーフェンシュタールは『意思の勝利』などの作品によって、偉大な指導者としてヒトラーのイメージを高めることに成功しました。戦争の終結とともに、彼ら自身が作り出したナチス/ヒトラーのイメージも消えました。ところが戦後70年たった今なお、ナチスやヒトラーをテーマにした映像作品は世界中で生まれつづけています。事情は本国ドイツでも同じです。ただ、そこには当事国ならではの表現のむずかしさがあるのも事実です。この授業では、今日にいたるまでの、複数の国のさまざまなナチス関連映画を見比べながら、映画におけるナチス/ヒトラーやホロコーストのイメージを分析します。そこから戦後ドイツの文化事情について理解することもできるでしょう。

到達目標

ナチス/ヒトラーとホロコーストに関する映像表現の難しさについて理解する。

授業計画

1 オリエンテーション(授業の目的と進め方)
2 ナチズムの映像美学――L. リーフェンシュタール(1)
3 ナチズムの映像美学――L. リーフェンシュタール(2)
4 悪の凡庸さ――『スペシャリスト』(E. シヴァン)『ハンナ・アーレント』(M.v.トロッタ)
5 どのようにして今日ナチズムを客観的に記録するか?――『ヒトラー、ある経歴』(C. ヘレンドルファー・J. フェスト)
6 映画としてのヒトラー――『ヒトラー、ドイツ生まれの映画』(H.J. ジーバーベルク)
7 ホロコーストと表象の不可能性の論理(1)――テレビドラマ『ホロコースト』
8 ホロコーストと表象の不可能性の論理(2)――『夜と霧』(A. レネ)
9 ホロコーストと表象の不可能性の論理(3)――『ショアー』(C. ランズマン)
10 人間としてのヒトラー(1)――『モレク神』(A. ソクーロフ)
11 人間としてのヒトラー(2)――『ヒトラー 最期の12日間』(O. ヒルシュビーゲル)
12 ヒトラーのパロディ化?(1)――『わが教え子、ヒトラー』(D. レヴィ)
13 ヒトラーのパロディ化?(2)――『イングロリアス・バスターズ』(Q. タランティーノ)
14 まとめ
15 予備日
取り上げる映画は、受講者のみなさんと相談のうえ、別のものと入れ替わる可能性があります。

授業方法

教員による概説ののち、担当者による口頭発表とそれをふまえたディスカッション。

準備学習

授業の前に、指示したテクストまたは映画に目を通すこと。

成績評価の方法

レポート:50%(自分なりの視点から考察すること。)
平常点(出席、クラス参加、グループ作業の成果等):50%(出席、口頭発表、発言)

教科書

プリントを配布。

参考文献

授業内で指示する。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。