認知心理学(認知心理学の基礎と発展)

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
今井 久登 教授 4 1~4 通年 1

授業概要

認知心理学について1年をかけて概説する講義です。
 
最初に,認知心理学とはどのような領域なのかをその歴史とともに俯瞰します。次に,この講義で紹介する認知心理学のいろいろな知見が,どのような方法を用いて得られてきたのかを理解できるよう,認知心理学の研究方法について解説します。これらを踏まえた上で,その後は,テーマごとにトピックを取り上げて順次解説してゆきます。

到達目標

・「認知心理学の概要」を理解し,説明することができる。
・「認知心理学の研究方法」を理解し,説明することができる。
・「認知心理学の専門用語」を日本語と英語で覚えた上で,その内容を理解し,説明することができる。

授業計画

1 (第1学期) 認知心理学とは何か
2 (第1学期) 認知心理学の誕生と歴史
3 (第1学期) 認知心理学の研究法(その1) 実証研究の基本的考え方
4 (第1学期) 認知心理学の研究法(その2)      〃
5 (第1学期) 認知心理学の研究法(その3) 実証研究におけるデータ収集の手法
6 (第1学期) 認知心理学の研究法(その4) 認知研究の技法
7 (第1学期) 感覚と知覚(その1) 精神物理学と知覚研究
8 (第1学期) 感覚と知覚(その2) 知覚の初期過程
9 (第1学期) 感覚と知覚(その3) 知覚の高次過程
10 (第1学期) 学習(その1) 古典的条件づけとオペラント条件づけ
11 (第1学期) 学習(その2) オペラント条件づけと強化スケジュール
12 (第1学期) 注意(その1) 注意とは何か~注意のモデル
13 (第1学期) 注意(その2) 視覚的注意
14 (第1学期) 神経心理学
15 (第1学期) 予備日
16 (第2学期) 記憶(その1) 記憶の基礎:覚える・保持する・思い出す・忘れる
17 (第2学期) 記憶(その2)   〃
18 (第2学期) 記憶(その3) 短期記憶とワーキングメモリ
19 (第2学期) 記憶(その4) 長期記憶と知識:その表象と構造
20 (第2学期) 記憶(その5) 長期記憶と日常記憶
21 (第2学期) 日常認知
22 (第2学期) 言語と理解(その1) 単語の認知と心的辞書
23 (第2学期) 言語と理解(その2) 文章理解
24 (第2学期) 問題解決と推論
25 (第2学期) 判断と意思決定
26 (第2学期) 認知と感情
27 (第2学期) 潜在記憶(その1) 潜在記憶とは何か
28 (第2学期) 潜在記憶(その2) 潜在記憶の進展
29 (第2学期) 予備日
30 (第2学期) まとめ
講義時間内に,卒業論文・大学院生・担当教員自身等による研究の参加協力者を募ることがあります。
認知心理学の研究に参加協力することは,認知心理学を理解するための最も効果的な方法のひとつです。
実験演習や卒論に取り組む際の経験や勉強にもなりますので,積極的な協力を期待します。

授業方法

・原則として,スライドを使って視覚資料を提示しながら講義形式で行いますが,板書で解説することもあります。ノートを1冊持参のこと。
 
・毎回,その回に関連した内容について,その場でシャトル・ペーパーを書いて提出してもらいます。
 
・講義時間と回数の都合上,講義内では取り上げることのできない内容についての学びを得るために,何冊かの図書を課題として指定し,その都度,レポートの提出をもとめます。課題図書は年間で6冊(半期で各2冊,夏休みに2冊)を予定しています。課題図書とレポートの詳細は,授業内で説明します。
 
・実験演習や卒論で英語の文献を読む際の力になるよう,最低限暗記しておいて欲しい認知心理学の専門用語を,その英語表現とともに原則として毎回数個ずつ提示します(履修者の理解度によって,確認のための小テストを課すこともあります)。

準備学習

・予習として,次回の講義で取り上げられる内容について,教科書(有斐閣アルマ)の該当箇所をあらかじめ読んでくること。(45分前後のめやす)
 
・復習しやすいよう,毎回の講義後~次回の講義前までに,使用したスライドのファイルと補足説明を G-Port にアップロードするので,有効に活用されたい。復習は,教科書(有斐閣アルマに加え,ニュー・リベラル・アーツ・セレクションも使用のこと)は当然のことながら,参考書等も参照して行うことをお勧めする。講義内で提示した専門用語も覚えていくこと。

成績評価の方法

第1学期(学期末試験):25%
第2学期(学年末試験):25%
レポート:30%
平常点(出席、クラス参加、グループ作業の成果等):20%(出席状況およびシャトル・ペーパーの内容)
 
以上の4つを合計して総合的に判定する。学期末の各試験と課題レポートのいずれかひとつでも提出がない場合には「不可」とする。

教科書

① 道又爾・北崎充晃・大久保街亜・今井久登・山川恵子・黒沢学『新版 認知心理学:知のアーキテクチャを探る』(有斐閣アルマ)、有斐閣2011
② 箱田裕司・都築誉史・川畑秀明・萩原滋『認知心理学』(ニュー・リベラル・アーツ・セレクション)、有斐閣2010
 
①は予習および復習用として,②は復習用として使用する。

参考文献

① 石口彰(監修),薬師神玲子・甲村美帆(共著)『認知心理学演習:視覚と記憶』、オーム社2012
② 石口彰(監修),池田まさみ(編著)『認知心理学演習:言語と思考』、オーム社2012
③ 石口彰(監修),池田まさみ(編著)『認知心理学演習:日常生活と認知行動』、オーム社2012
④ 大山正(監修),村上郁也(編著)『心理学研究法1:感覚・知覚』、誠信書房2011
⑤ 大山正(監修),箱田裕司(編著)『心理学研究法2:認知』、誠信書房2012
⑥ 大山正(監修),廣中直行(編著)『心理学研究法3:学習・動機・情動』、誠信書房2011
 
①〜③は,講義内容の復習やさらなる理解を目指す際の演習問題として,④〜⑥は,認知心理学の研究方法についてより深く理解したい場合の参考となると思う。しかし,ここで挙げた書籍だけにこだわる必要はないので,各自の関心・理解・必要性に応じて,各自に合うものを図書館や書店等で適宜選んで理解を深めていってほしい。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

・授業内容の項に示した通りの進行を心がけるつもりではいますが,履修者の理解度に応じて,あるいは担当者の側の事情に応じて,内容を変更する可能性もあります。その場合には,その都度,事前にお知らせします。
 
・この講義では,認知心理学についてその誕生から現在に至る間のトピックをできるだけ幅広く扱うつもりではいますが,限られた時間の範囲では扱える内容にどうしても限界があります。講義や課題で取り上げる内容だけを受け身に学習するだけでなく,講義を通じて各自の興味・関心を探りつつ,学生自ら主体的かつ積極的に学んでいってほしいと思います。