性格心理学(性格の多様性と多層性)
臨床心理学の基礎としての性格論―

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
吉川 眞理 教授 4 2~4 通年 3

授業概要

他者と異なる「私の心」への気づきは性格心理学への重要な糸口である。この心をとらえるために役立つ心理学的概念やさまざまな尺度について解説しながら、他者の心の多様性をふまえて自分の心の独自性を個性としてとらえる視点を確立し、ライフサイクルに沿って個性の生成・展開のプロセスについて論じる。

到達目標

臨床心理実践の前提として求められる理論的基盤としての性格心理学を、自分自身の体験に照らしつつ学び、基本的な心理学用語をマスターする。

授業計画

1 導入 性格・人格・個性<性格検査体験>
2 性格類型論と性格特性論<性格検査の読み方解説>
3 性格は何次元構造?<Big Five>
4 性格を説明する因子の個人差<レプテスト>
5 パーソナリティのアセスメント<描画法体験>
6 性格を決定するのは遺伝か環境か?
7 ジェンダー・アイデンティティの心理学1
8 ジェンダー・アイデンティティの心理学2
9 精神分析的人格理論:無意識の発見
10 意識と無意識:自我の葛藤と不安
11 心の防衛機制と性格形成
12 心的外傷体験と多重人格のメカニズム
13 性格の形成過程1:乳児における自己感の形成
14 性格の形成過程2:愛着の形成と個人差 分離個体化のプロセス
15 自主研究
16 性格の形成過程4:妄想分裂的ポジションから抑うつ的ポジションへの移行
17 性格の形成過程5:心の発達を自我同一性の確立過程としてとらえる視点
18 性格の形成過程6:子どもから大人への過渡期としての思春期
19 心理的発達の危機とその克服:不登校をめぐる考察
20 性格の形成過程7:青年期における自我同一性ステイタス
21 性格の形成過程8:結婚と家族の形成
22 個人と集団:グループのダイナミクス
23 性格の変容:薬物療法と心理療法
24 心理療法による性格の変容
25 精神分析的治療理論
26 フロイトからユングへ
27 ユング心理学における心の理論1
28 ユング心理学における心の理論2
29 青年期における個性化:箱庭による理解
30 理解度の確認

授業方法

折々に心理テスト体験をとりいれた講義形式。授業の最後にミニエッセイを提出し、これをもって出席をカウントする。ミニエッセイのうちいくつかを読み上げることで、前回授業の復習や、今回の授業の導入として用いる。

準備学習

授業で紹介された文献を読み、パーソナリティの諸側面について理解を深める。(教科書の当該箇所が指定される場合もある)

成績評価の方法

第2学期(学年末試験):60%
レポート:20%
平常点(出席、クラス参加、グループ作業の成果等):20%
毎回出席をとります。

参考文献

伊藤良子『臨床心理学』(いちばんはじめに読む心理学の本)改訂版、サイエンス社2003
和田万紀 編『心理学』(Next教科書シリーズ)、弘文堂2011
その他、授業中に紹介。