哲学演習
ヒューム研究―

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
下川 潔 教授 4 D/M 通年 5

授業概要

この演習の目的は、A Treatise of Human Nature, book 3 (1st edn, 1740)とAn Enquiry concerning the Principles of Morals (1st edn, 1751)におけるヒュームの正義論と道徳哲学を、歴史的観点ならびに批判的観点から研究することである。今年度は、昨年度に続き、ヒュームの批判者トマス・リードがEssays on the Active Powers of Manで展開した批判を考察し、リードの観点からヒュームの見解を理解し、かつ検討する。演習のテクストとしては、リードのEssays on the Active Powers of ManのEssay V 'Of Morals'を使う。参加者は、ヒュームの正義論や道徳哲学の概略を一通り把握した上で、この演習に参加して、リードが何をどのように批判しているか、その批判がどれほど正当であるかを考えてほしい。リードとヒュームという18世紀スコットランドが生んだ二人の哲学者の見解が衝突する場面に臨むのであるから、参加者は、どちらの立場に与するのか、あるいはどちらにも与せずに第三の立場をとるのか、といった態度決定を迫られることになろう。いずれにしても、知的刺激に満ちた演習にしたい。テクストは、ホーコンセンとジェイムズ・ハリスが編集した決定版のテクストをコピーして配布する。

到達目標

●ヒュームとリードの実践哲学上の差異について学び、ヒュームの正義論と道徳哲学を歴史的観点と批判的観点から深く理解する。
●18世紀の英語で書かれた哲学的散文を読解する能力を身につける。

授業計画

1 導入 テクスト、研究方針、今後のスケジュールの確認
2 Essays on the Active Powers of Man, Essay V 'Of Morals'の読解(昨年度からの続き)、ならびにヒュームの見解の検討
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14 総括と夏休みの課題提示
15 自主研究
16 トマス・リードのテクストEssays on the Active Powers of Man, Essay V 'Of Morals'の読解、ならびにヒュームの見解の検討
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29 総括と学年末課題の提示
30 自主研究

授業方法

テクストの輪読、ならびに発表と討論を行なう。少人数の大学院ゼミなので各人の哲学的関心や思想史的関心をできるだけ尊重する。哲学的であると同時に学問的であることが求められる。積極的な参加を望む。

準備学習

(1)毎回テクストの予習を徹底的にやること。
(2)必要に応じて発表を依頼するので、その際には入念な調査とレジュメ(もしくは原稿)を準備すること。

成績評価の方法

レポート:30%(学年末小論文)
平常点(出席、クラス参加、グループ作業の成果等):70%
「平常点」において重視するのは、予習、討論、調査、原稿作成、発表である。
※博士前期課程と博士後期課程、それぞれの基準に応じて成績評価を行う。

教科書

リードのテクストはコピーして配布するが、ヒュームのA Treatise of Human NatureAn Enquiry concerning the Principles of Moralsに関しては、各自、適切な版を入手してほしい。どの版が適切か判断できない場合は、アドヴァイスを与えるので購入する前に相談してほしい。

参考文献

適宜、授業中に紹介する。