※英米文学演習
シェイクスピアの悲劇『オセロー』講読―

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
末廣 幹 講師 4 D/M 通年 4

授業概要

ウィリアム・シェイクスピアの四大悲劇のひとつである『オセロー』(Othello)を読みます。テクストを精読しながら、作品を映像化したヴィデオやDVDを観て、この悲劇の魅力を明らかにするつもりです。また併せて、シェイクスピアのほかの作品も紹介したいと考えています。
最初に、オリヴァー・パーカー監督の映画『オセロ』(1995年)を観て、作品の全体像を掴んでもらいます。その後、演劇テクストの特徴を紹介しながら、テクストを精読します。テクストの訳読だけでなく、テクストの分析や解釈を実践して貰います。さらに、映画『オーソン・ウェルズのオセロ』(1952年)や蜷川幸雄演出による日本語上演のDVD(2007年)を比較検討しながら、この戯曲の演出の可能性について理解を深めます。

到達目標

(1学期) シェイクスピアの戯曲の特長を把握した上で、英語に慣れ、ダイナミックな台詞のやりとりを理解できる。
(2学期) シェイクスピアの戯曲の台詞を正確に理解した上で、それぞれの受講生の視点に基づいてテクストを解釈できる。

授業計画

1 初期近代イギリス演劇概論
2 オリヴァー・パーカー監督の映画『オセロ』(1)
3 オリヴァー・パーカー監督の映画『オセロ』(2)
4 シェイクスピアの戯曲の特長と台詞の詩法
5 シェイクスピア時代の劇場の構造
6 『オセロー』第1幕第1場精読――イアーゴーの台詞の効果
7 『オセロー』第1幕第2場精読1――オセローの社会的アイデンティティ
8 『オセロー』第1幕第2場精読2――ヴェネツィアにおけるオセローの位置
9 『オセロー』第1幕第3場精読1――対トルコ戦の意味
10 『オセロー』第1幕第3場精読2――オセローの語りの意味
11 『オセロー』第1幕第3場精読3――キプロス島への移動の意味
12 『オセロー』第1幕第3場精読4――イアーゴーの傍白の特徴
13 『オセロー』第1幕第3場精読5――イアーゴーの傍白の効果
14 『オセロー』第1幕の演出のヴァリエーション
15 理解度の確認
16 蜷川幸雄演出『オセロー』上演DVD鑑賞(1)
17 蜷川幸雄演出『オセロー』上演DVD鑑賞(2)
18 蜷川幸雄演出『オセロー』上演DVD鑑賞(3)
19 『オセロー』第2幕のレクチャー
20 『オセロー』第2幕についての発表と意見交換
21 『オセロー』第3幕のレクチャー1――「誘惑の場」の特徴
22 『オセロー』第3幕のレクチャー2――「誘惑の場」におけるイアーゴーのレトリック
23 『オセロー』第3幕のレクチャー3――「誘惑の場」における〈嫉妬〉への焦点化
24 『オセロー』第3幕についての発表と意見交換
25 『オセロー』第4幕のレクチャー
26 『オセロー』第4幕についての発表と意見交換
27 『オセロー』第5幕のレクチャ
28 『オセロー』第5幕についての発表と意見交換
29 『オセロー』全体をめぐる討論
30 理解度の確認
受講者と相談の結果、授業計画を変更することもあります

授業方法

演習形式で、毎回受講者の中から担当者を選び、訳読して貰ったり、発表及びコメントをして貰うつもりです。

準備学習

事前にテクストの該当箇所を熟読してくること。
毎週の担当者は、授業前に指示した箇所の全文を英訳し、解説の必要な箇所は自分なりの解説を用意してくること。

成績評価の方法

レポート:60%(シェイクスピアの演劇テクストの分析に基づいたレポート)
平常点(出席、クラス参加、グループ作業の成果等):40%(授業への出席、発表とコメント)
レポートでは、シェイクスピアの演劇テクストの原文を読み込んだ上で、自分なりの解釈が論理的にレポートとしてまとめられていること
平常点に関しては、授業に出席していること、発表の際に発表の資料を作成して発表できていること、ほかの受講生の発表に対して確かな根拠を挙げてコメントできること
学部生は、学部科目の基準で成績評価を行なう。
博士前期課程の学生は、博士前期課程の基準で成績評価を行なう。
博士後期課程の学生は、博士後期課程の基準で成績評価を行なう。

教科書

William Shakespeare, Othello, the Moor of Venice, (The Oxford Shakespeare) Paperback Edition, Oxford University Press, 2006, ISBN:9780199535873

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。