臨床心理査定特論

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
小嶋 嘉子 講師 2 M 第1学期 5

授業概要

臨床心理査定は、様々な臨床場面で、クライエントについて理解し、介入の方針を探るために重要である。本講では、この心理査定(アセスメント)の方法のなかでも代表的なロールシャッハ・テストについて、結果の整理や解釈の実際について体験的に、演習形式で学習し、クライエントの理解につなげることを目的とする。ロールシャッハ法は片口法に基き、前半では、形式分析から始めて精神力動的観点からの継起分析の実際について学ぶ。そして、心理療法で展開されるクライエントの内的世界、対象関係が、テスト上どのように表れるのか、理解できるようになることが望ましい。また、ロールシャッハ法は、特に病院臨床ではクライエントの鑑別診断の補助に使われることが多い。様々な病態の代表例における本検査上の表れを概観し、他の心理検査とのテストバッテリーを併せてテストデータを読み進め、これらの検査結果を報告書へとまとめられるようになるのが望ましい。

到達目標

心理検査(ロールシャッハテスト)から、クライエントの内的世界や対象関係、その病理などをアセスメントできるようになり、その結果を報告書にまとめられるようになること。

授業計画

1 オリエンテーション・臨床心理査定概論
2 ロールシャッハ法;その特性と成り立ち、解釈のための背景理論
3 ロールシャッハテストの施行法とスコアリング
4 ロールシャッハテストのスコアリング演習
5 ロールシャッハテストの解釈①;形式分析
6 ロールシャッハテストの解釈②;継起分析と精神力動論 Ⅰ
7 ロールシャッハテストの解釈②;継起分析と精神力動論 Ⅱ
8 事例1;神経症
9 事例2;パーソナリティ障害①
10 事例3;パーソナリティ障害②
11 事例4;統合失調症①
12 事例5;感情障害圏
13 事例6;複合的な病理を持つ事例
14 心理検査と心理療法の照合
15 理解度の確認

授業方法

講師の提供するデータをもとに、各自で実際にスコアリングし継起分析をしていただきます。

準備学習

授業中に配布したテストデータについて、事前にスコアリングしておくことが望ましい。

成績評価の方法

レポート:50%(クライエント像を明確に描きだせているか、わかりやすい検査所見を書くことができているか、という視点で評価する。)
平常点(出席、クラス参加、グループ作業の成果等):50%(演習形式なので、授業中の発言も評価の対象となる。)
出席状況、レポートの内容、授業での発言を総合的に評価する。
博士後期課程の基準で成績評価を行う。

教科書

片口安史『新・心理診断法』、金子書房1987

参考文献

小此木啓吾・馬場禮子『精神力動論』、金子書房1989

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。