東アジア政治Ⅰ
戦後東アジアの冷戦構造と国内政治―
012-A-339

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
磯﨑 典世 教授 2 1~4 第1学期 3

授業概要

東アジアにおいては、グローバルな冷戦が終結した後も、朝鮮半島情勢や中台問題など不安定な要素が残り、安定的な秩序が形成されていない。また、近年は、歴史認識や領土をめぐる対立も激化している。授業では、なぜこのような国際関係が成立したのかを考えるため、戦後東アジアの冷戦構造の展開を、対立の最前線にあった韓国・台湾の対応にも焦点をあてて検討する。
 韓国と台湾は、ともに、日本の植民地統治から解放され、共産主義政権と正統性を争って成立した「分断国家」である。両者は、NIEsの一員として急速な経済発展が注目され、かつ80年代後半に「民主化」を達成したという共通性をもつ。この2つの体制が、東アジアの冷戦構造の展開のなかで、その体制を維持し、対外関係を構築してきたダイナミズムを、国際政治経済からの影響を含めて考察する。さらに、これらの理解のために必要な概念の説明や理論的考察、比較などを行う。以上のような作業を通じて、戦後東アジアの国際関係、比較政治学などの基本的な理解を深め、現代東アジアの政治を国内政治と国際政治の相関関係から捉えることを目的とする。

到達目標

第二次世界大戦後の東アジア国際政治の展開について学び、現在この地域で起こっている国際問題の原因はどこにあるか理解できるようになる。
植民地から独立した国家の国内政治がどのように展開するのかを国際政治と関連づけて学び、国内政治と国際政治の関わりについて理解

授業計画

1 イントロダクション
2 植民地統治から脱植民地へ
3 東アジアの冷戦と分断国家
4 朝鮮戦争と「冷戦の構造化」
5 60年代:開発というイシューと軍の政治介入
6 権威主義体制と「上からの開発」
7 日本と東アジアの経済関係の再構築
8 日韓国交正常化
9 ベトナム戦争と東アジア
10 冷戦構造の変容(1)ニクソンドクトリンと東アジア
11 冷戦構造の変容(2)韓国・台湾の対応の比較
12 冷戦構造の変化と東アジア
13 70年代の東アジアと日本
14 戦後東アジアの冷戦と国内政治
15 まとめ
「東アジア政治Ⅱ」とあわせて履修するのが望ましい。「東アジア政治Ⅰ」では、戦後から70年代までの時期を扱う。あくまでも計画に過ぎないので変更があり得る。

授業方法

毎回レジュメを配布し、それに基づいて講義形式で進める。理解を深めるために、ビデオなどの視聴覚教材も活用する。

準備学習

授業中に配布したレジュメや資料を再読し、ポイントを整理して復習すること(約30分)。

成績評価の方法

第1学期(学期末試験):85%
小テスト:10%(小テストを1回程度実施する)
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):5%(コメントペーパーの提出を成績に加味する)

教科書

特定の教科書は指定せず、広く参考文献の読書を勧める。

参考文献

木宮正史『韓国:民主化と経済発展のダイナミズム』、ちくま新書2003
若林正丈『台湾:変容し躊躇するアイデンティティ』、ちくま新書2001
上記の新書は、授業を履修するにあたって、早めに一読しておくことを勧める。詳細な参考文献は、授業時に指示する。