演習(3年生)
ソーシャル・イノベーションの戦略―
022-B-300

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
米山 茂美 教授 4 3 通年 5

授業概要

 私の演習(ゼミ)での統一テーマは、「イノベーションの戦略」です。イノベーションとは、新しい製品・サービスや新しいビジネスモデル(事業の仕組み)の開発など、何か新しいものを生み出していくプロセスのことをいいます。今年度の3年生の演習では、特に「ソーシャル・イノベーション」に焦点を当て、社会的課題の解決に向けた新しい事業の仕組みについて理論と実践の両面から皆さんと考えていきたいと思います。
 まず第1学期前半に、ソーシャル・イノベーションを研究していく上での基礎となる主要な文献(本や論文、調査資料等)を読み、理論的な知見を深めるとともに、その後の研究のためのテーマ案について考えてもらいます。第1学期の後半には、各学生から関心のある研究テーマを提案してもらい、その中から3つのテーマを選んでグループを編成し、社会的問題解決と企業の成長・競争力との関係に関する仮説の設定や調査方法等に関する議論を行います。
 第2学期の前半には、グループごとに企業へのヒアリング調査等を通じた事例研究やアンケート調査などに基づく実証研究を行なってもらいます。その後、第2学期後半にそれまでの研究成果を整理し、12月中旬に予定している他大学との合同発表会に向けた準備を行っていきます。今年度は、日本だけでなく、海外の大学との発表会を予定しており、そこでは英語でのプレゼンテーションにも挑戦していただきます。

到達目標

(1)イノベーション、特にソーシャル・イノベーションとは何であり、それが企業の成長や社会的価値の創造のためになぜ重要なのか、それを実現していくためにはどのような戦略的発想が求められるのか等に関する専門的知識を習得します。
(2)研究に関連して、自ら問題を設定する能力、その問題に対する仮説を立て、自ら調査・検証していく能力、さらに結果をまとめ発表する能力を獲得します。自ら調査・検証していく能力については、事例研究の方法論やデータを用いた統計的分析の手法についても学習します。
(3)日本語だけでなく、英語でのプレゼンテーションや討議を経験することで、語学力とコミュニケーション力を向上させます。

授業計画

1 ガイダンス(講義の内容とスケジュール)
ソーシャル・イノベーションに関する導入講義
2 Porter, M. E. and M. R. Kramer, "Creating Shared Value", Harvard Business Review, 2011.
3 水上武彦「社会問題解決と競争力強化を両立するCSV」『日経ビジネス』, 2011.
水上武彦「地域が強くなれば、自社も強くなれる」『日経ビジネス』, 2011.
4 岡田正大「包括的ビジネスとは」「経済性と社会性」「包括的ビジネス成功の原則」他,ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー, 2012-2013.
5 公益財団法人日本財団「ソーシャルイノベーションカンパニー調査報告書」, 2012.
6 駒崎弘樹『「社会を変える」を仕事にする』, 2007.
7 小暮真久『社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた』, 2012.
8 藤井剛『CSV時代のイノベーション戦略』, 2014.
9 研究テーマ案の発表とグループ分け
10 研究テーマの詳細検討に関するグループワーク
11 社会的活動と企業成長・競争力との間の関係に関する仮説の発表(第1グループ)
12 社会的活動と企業成長・競争力との間の関係に関する仮説の発表(第2グループ)
13 社会的活動に関する事業企画案(仮)の発表(第3グループ)
14 研究方法論に関する講義
15 前期の振り返りと夏休みの課題提示
16 仮説及び調査方法の確認(グループ討議)
17 日本における社会的企業・社会的起業家・社会イノベーションの事例研究(第1グループ)
18 日本における社会的企業・社会的起業家・社会イノベーションの事例研究(第2グループ)
19 社会的企業に関する事業内容の提案(第3グループ)
20 収集したアンケート調査等のデータと分析結果の発表(第1グループ)
21 収集したアンケート調査等のデータと分析結果の発表(第2グループ)
22 収集したアンケート調査等のデータと分析結果の発表(第3グループ)
23 中間発表(英語)
24 発表内容の整理とプレゼン練習(グループワーク)
25 プレ発表(英語)
26 他大学との発表会(慶応義塾大学(予定))
27 他大学との発表会(台湾・元智大学)
28 他大学との合同発表会等の反省会
29 総括
30 予備日
 サブゼミ(学生を主体とした討議や本ゼミの準備等)や、2年生・4年生との合同ゼミを実施する可能性があるため、水曜日の4・5限には他の授業を入れないようにしてください。

授業方法

 3年生のゼミは、グループワークが中心となります。
 第1学期の文献レビューでは2~3回グループを入れ替えて、新しいグループのメンバーで討議及びその結果発表を行ってもらいます。
 第1学期後半に研究テーマが決まった後は、グループは3つに分けて固定し、原則、第2学期の終わりまで同じグループで調査研究を進めていっていただきます。グループ研究は、基本的には仮説検証型の実証研究を基本としますが、学生の希望に応じて企業やNPO等への企画提案型の研究を含めることも可能です(その場合、最後の成果発表は企業の実務家やNPOの代表者等に対して行う予定です)。各グループの調査研究を支援するために、必要に応じてゲスト講師を交えた講演会の開催も検討します。
 米山ゼミでは、サブゼミ(学生を主体とした討議や本ゼミの準備等)や、2年生・4年生との縦の繋がりを築くために合同での発表・討議の場も設けます。授業内容のところでも記しましたが、水曜日の4・5限にまたがることがありますので、この曜限には他の授業を入れないようにしてください。

準備学習

 既存文献のレビュー、研究テーマの計画、仮設検討、事例に関する情報収集、調査(ヒアリング、アンケート等)の設計と実施などについて、事前に個人ないし各グループで準備してくること(予習に週平均約2~3時間程度)

成績評価の方法

レポート:20%(担当した研究テーマの発表に係るパワーポイント資料等の内容及びその資料作成における貢献の程度に基づいて評価します。)
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):50%(毎回の出席のほか、グループ討議及び全体討議への参加の程度(発言の量及び質)によって評価します。)
他大学との発表会:30%(他大学との発表会(国内、海外)における自分のグループの発表および質疑応答への貢献度、他大学の発表に対する質疑応答への貢献度によって評価します。)
 無断欠席がある場合、単位を出すことはできません。体調不良等による欠席の場合は事前通知が原則です。体調不良等による欠席の場合でも、頻度が多いと単位を出すことができないので、自己管理に努めてください。

教科書

特に指定しません

参考文献

 授業内容の中で明記した本や論文、資料等は、私のホームページにアップするか、事前に購入してお渡しします(自分で購入してもらうものもあります)。講義での指示に従ってください。

履修上の注意

履修者数制限あり。(15~16名)
第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

 ゼミでの懇親会や合宿のほか、2年生・4年生との合同ゼミ、他大学(国内・海外)との発表会及び懇親会には必ず出席してください。