美術史概説
031-A-230

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
高橋 裕子 教授 4 1~2 通年 1

授業概要

「概説」という言葉は何かを全体にわたって説明することを意味し、歴史関係の学問では「通史」であることが一般的かもしれません。しかし、本講義では、学問分野としての美術史学を学ぼうとする人に知って欲しい個別のトピックをいくつか取り上げ(本年度は、独立の授業科目がない「キリスト教図像学」に力点を置きます)、加えて美術史学自体の歴史や方法論を、こうしたトピックと関連付けて論じます。「通史」は基礎教養科目の「西洋美術史」や「日本美術史」で学んでください。また、「芸術学」も併せて履修することを勧めます。

到達目標

・「美術史学とは何か」という問いに自分なりに答えられるようになる。
・美術史学の専門用語や代表的方法論が理解できるようになる。
・キリスト教図像学の基本的知識が得られる。

授業計画

1 イントロダクション
2 古代ローマの著述家プリニウスと美術史学の起こり
3 古代彫刻とその複製
4 中世キリスト教世界における「異教」の古代美術の運命
5 ヴァザーリ(1511~74)『美術家列伝』(1)概要
6 ヴァザーリ(1511~74)『美術家列伝』(2)記述の特徴
7 後世による美術史家ヴァザーリの評価(当初は模範、19世紀には不正確で信用できないとされる)
8 芸術家伝説(1)ルネサンス
9 芸術家伝説(2)近代
10 工房システムとギルド
11 作品の注文者:寄進者(ドナー)とパトロン
12 美術アカデミー(1)16世紀フィレンツェでの発足
13 美術アカデミー(2)17世紀フランスにおける発展
14 教育機関・展覧会開催機関としてのアカデミー
15 理解度の確認
16 主題への注目(1)イコノグラフィー(図像学)
17 主題への注目(2)イコノロジー(図像解釈学)
18 キリスト教図像学の基礎(1)キリスト教美術の誕生
19 キリスト教図像学の基礎(2)旧約聖書に基づく主題
20 キリスト教図像学の基礎(3)新約聖書に基づく主題
21 キリスト教図像学の基礎(4)新約聖書に基づく主題(続き)
22 キリスト教図像学の基礎(5)聖人伝
23 キリスト教図像学の基礎(6)聖人伝(続き)
24 キリスト教図像と近代におけるその変容
25 美術と社会(1)美術の社会的機能
26 美術と社会(2)社会的現象の反映としての美術
27 美術と社会(3)社会的現象の反映としての美術(続き)
28 美術とジェンダー(1)制作者の観点から
29 美術とジェンダー(2)主題の観点から
30 理解度の確認

授業方法

講義形式

準備学習

・各回の配布資料を授業後に読み直して復習する。
・概説書(開講時に紹介)を読む、基礎教養科目の「西洋美術史」、「日本美術史」を履修するなどして通史の知識を得る。
・展覧会に積極的に足を運ぶ。

成績評価の方法

第1学期(学期末試験):50%(単なる暗記に留まらない理解が示されていること。)
第2学期(学年末試験):50%(単なる暗記に留まらない理解が示されていること。)
毎回出席を取り、その結果は採点に反映させます。

教科書

特にないが毎回資料を配布。

参考文献

参考文献は開講時および授業中に適宜紹介。