考古学概説
考古学の諸問題―
032-A-106

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
白井 久美子 講師 4 1~4 通年 3

授業概要

現代社会に生きる我々にとって、考古学は何をもたらしているのか。地中から掘り出された遺跡・遺物の分析によって日本の歴史と風土・環境を考える。また、考古学の成果をどのように生かし、活用していったらよいのか。遺跡の発掘調査・保存の現状と問題点を紹介し、文化遺産としての考古資料が日本でどのように受け入れられ、未来に受け継がれようとしているのか理解し検討する。

到達目標

考古学の基礎知識について理解し、考古学の成果を歴史学や社会教育にどのように活かせるか、自分の意見をもてるようになる。

授業計画

1 遺跡への招待1(旧石器時代~縄文時代)   
2 遺跡への招待2(弥生時代~古墳時代)
3 遺跡への招待3(奈良・平安時代)
4 遺跡への招待4(中世・近世)
5 古墳と古代王権(1)古代日本の女性首長
6 古墳と古代王権(2)女王卑弥呼とその時代
7 古墳と古代王権(3)前期ヤマト王権の首長像
8 古墳と古代王権(4)倭の五王の墓は?
9 古墳と古代王権(5)斉明女帝の時代
10 博物館の見学-展示品から歴史を読み解く-
11 博物館見学の成果について
12 壁画古墳が語るもの1-高松塚古墳とキトラ古墳-
13 壁画古墳が語るもの2-星宿図-
14 まとめ
15 自主研究
16 海洋民の記憶(1)海人文化の伝統
17 海洋民の記憶(2)海食洞穴
18 海洋民の記憶(3)海人の首長
19 海洋民の記憶(4)舟葬と海上他界
20 海洋民の記憶(5)海の道-東海道-と海人の意匠
21 考古学と現代社会の関わり(1)考古学とマスコミ
22 考古学と現代社会の関わり(2)日本の取り組み
23 考古学と現代社会の関わり(3)欧米諸国の取り組み
24 関連諸科学と考古学(1)年代を測定する
25 関連諸科学と考古学(2)古環境の復元-出土木材・花粉分析による植生の復元-
26 地域から古代史を見る(1)弥生文化の東漸
27 地域から古代史を見る(2)ヤマト王権出現期の各地の様相
28 地域から古代史を見る(3)東国とヤマト王権
29 地域から古代史を見る(4)飛鳥時代の東国
30 授業のまとめ
博物館の見学を行う。

授業方法

考古学による遺跡調査の実際を知るため、発掘調査の成果・分析の方法・普及活動・報道内容などを映像と資料によって紹介し、検討する。

準備学習

授業の内容について、次回までに関連資料を調べておく。

成績評価の方法

第2学期(学年末試験):50%(第2学期の授業内容を中心に、通年の授業内容の理解度を確認する。)
レポート:30%(第1学期の授業内容から各自テーマを選んで理解を深める。)
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):20%(平常授業のテーマの区切りに、授業内容に関する意見・感想・質問などのコメントペーパーの提出を行い、理解度を確かめる。)
コメントペーパーの提出や内容も成績に加味する。

教科書

授業時にプリント資料を配付する。

参考文献

白井久美子『古墳から見た列島東縁世界の形成』(千葉大学考古学研究叢書2)、六一書房(扱い)2002年、ISBN=4924912123
西嶋定生『倭国の出現』、東大出版会1999年、ISBN=4130210645
網干善教『高松塚古墳』(日本の古代遺跡を掘る6)、読売新聞社1995年、ISBN=4643950099
竹内理三『風土と生活』(古代の日本2)、角川書店1977
大林太良『海人の伝統』(日本の古代8)、中央公論社1987年、ISBN=4124025416
田中琢・佐原真『発掘を科学する』、岩波書店1994年、ISBN=4004303559
土生田純之・白井久美子ほか『古墳時代の実像』、吉川弘文館2008年、ISBN=9784642093156
吉村武彦『ヤマト王権』(シリーズ日本古代史②)、岩波書店2010年、ISBN=9784004312727
授業時に提示する。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

プリント資料に沿って授業を行うので、毎回出席することが望ましい。