基礎演習ⅡA
日本中世の神話と物語―
033-A-200

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
兵藤 裕己 教授 2 2 通年 5

授業概要

 日本中世の神話である「熊野の本地」と、能や日本舞踊の世界で有名な「道成寺物語」を、江戸初期の写本をテキストとして読みすすめます。変体仮名(毛筆による仮名のくずし字)の読解の練習を行い、あわせて、中世の神話や物語が成立する文化的・宗教的な基盤について考察します。一年間の授業が終わった時点で、受講者の全員が、写本の変体仮名をすらすらと読めるようになることを、授業の目標とします。
 なお、日本語日本文学科以外の学生は受講できません。

到達目標

1年間の授業をとおして、受講者全員が必ずや変体仮名をすらすら読めるようにします。

授業計画

1 平安から中世における熊野信仰の広がりについて
2 中世神話としての「熊野の本地」
3 「熊野の本地」、講読
4 同、講読
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15 第1学期授業のまとめ
16 道成寺説話について、
17 「日高川」、講読
18 同、講読
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25 さまざまな変体仮名文献の、講読
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30 第2学期授業のまとめ
○4月~9月には、「熊野の本地」を扱います。テキストには、天理図書館蔵「熊野の本地」の影印本をもちい、変体仮名の読解の練習を行い、あわせてこの物語(というより、中世神話)の成立背景にある諸問題を考察します。中世の文学・文化・歴史を考える場合、熊野信仰の問題を抜きして語ることはできません。そのような中世神話テキストとして、「熊野の本地」について考察します。
○10月~1月は、「日高川」を扱います。テキストには、天理図書館蔵「日高川」を用い、変体仮名の読解の練習を行ない、あわせて、この物語の成立背景にある諸問題を考察します。 「道成寺物語」は、女性の破滅的な恋の物語として、中世・近世の文学・芸能の世界に多大な影響を与えました。授業では、「道成寺物語」の異本である「日高川」をとりあげ、この物語が成立する宗教的基盤や、中世の女性観について考察します。

授業方法

段落ごとに担当者をきめて、変体仮名の読解の演習を行います。あわせて、上記の諸問題について、講義形式と演習形式によって考察します。

準備学習

毎回、15~30分程度の予習・復習が不可欠です。

成績評価の方法

第1学期(学期末試験):30%
第2学期(学年末試験):30%
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):10%
漢字テスト:30%
各学期末に試験をします。

教科書

笠間影印叢刊刊行会『字典かな』、笠間書院ISBN=4305000008

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

他学科の学生は履修不可。