言語・教育コース演習A
会話英語の意味を考える―
034-A-332

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
平田 一郎 講師 4 3~4 通年 2

授業概要

この授業では、situation comedyと呼ばれるアメリカのテレビ番組を資料にしながら、会話の英語に見られる特徴的な言い回しを英語学的に学びます。例えば、誰かが意外なことを言った場合、驚きを表現するのに、"I didn't see that's coming."(これはびっくりだ)と言ったりします。あるいは、わかりきったことを敢えて言った人に対して、"You think?"(当たり前だろ)と言います。言葉の日常生活での使われ方を研究する分野である語用論を足がかりにして、このような口語英語らしい表現をたくさん学び、「どうしてその場面でそのように言うのか」を考えます。そして英語に対する理解を深めるとともに、「さらに上」の英語力の育成を目指します。英語力の向上に結びつく英語の研究をするのが目標です。

到達目標

英語らしい会話表現を丸暗記するのではなく、どうして特定の場面で特定の言い回しが使われるのか理解することができるようになる。また、それを英語学・言語学の用語を使って説明することで、英語らしい表現を納得しながら使えるようになる。

授業計画

1 授業の概要説明と目標設定
2 語用論入門
3 認知環境
4 明示的意味
5 暗示的意味
6 文法の役割
7 辞書の役割
8 時間表現
9 空間表現
10 構文の役割
11 フレームの役割
12 品詞の転換
13 品詞の転換と単語の意味変化
14 授業の総括
15 予備日
16 会話表現の分析:文脈
17 会話表現の分析:省略
18 会話表現の分析:協調の原理
19 会話表現の分析:呼びかけ表現
20 会話表現の分析:話者自身への配慮
21 学生による発表:聞き手への配慮
22 学生による発表:タブー
23 学生による発表:皮肉
24 学生による発表:誇張法
25 学生による発表:冠詞
26 学生による発表:自他交替
27 学生による発表:文脈効果
28 学生による発表:アドホック概念
29 授業の総括
30 予備日
授業は教員が資料をもとに説明する週と担当の学生が発表する週がある。はじめに教員が会話分析に必要な用語、考え方を紹介し、あとはできるだけ多くの時間を学生自身の発表と議論に充てる。

授業方法

はじめに教員が資料をもとに、英語会話の分析と、分析に必要な予備知識を説明する。学生は演習形式で学ぶ。その後、グループに分かれて学生が会話分析を行っていく。学生主体の授業である。

準備学習

学生にも順番に発表をしてもらう。たくさんの(英語による)テレビ番組を見ること。Full House, Friends, Frasier, Seinfeldなど。you tubeで見ることができるものもある。面白い表現に出くわしたらその場で記録していく。

成績評価の方法

レポート:50%(自分なりに興味深い現象を見つけることが重要である。)
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):50%(グループの発表を評価の対象とする。他の学生が楽しく学べるような工夫と努力を高く評価する。)
学期ごとに1回の発表と1つのレポートを課す。発表も課題も楽しいので、楽しく頑張ってください。

参考文献

今井邦彦監訳『語用論キーターム事典』、開拓社2014
東森勲・吉村あき子『関連性理論の新展開』(英語学モノグラフシリーズ21)、研究社2003
D.スペルバー&D.ウィルソン『関連性理論』第2版、研究社1999
内田聖二『語用論の射程』、研究社2011
基本的な内容は配布プリントによりますが、これらの本でさらに考察を深めることができます。

履修上の注意

履修者数制限あり。(30名)
第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

2015年度言語・教育コース演習Fを履修した学生は登録することができません。