フランス語圏文化演習(文学・思想)C
愛を歌う詩人たち II―
036-A-404

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
中山 慎太郎 助教 4 3~4 通年 3

授業概要

詩は愛を歌い、愛は詩を華やかに彩ってきました。私たちにとって身近なものでありながらも捉えがたい愛を歌うフランス詩は、その地域性と歴史性も含めて多くの読者を魅了し続けています。
フランス語圏の詩を扱う本授業は、それぞれの詩篇に固有の愛の情景や表現法を分析することで、詩人の思想を深く理解すると同時に、その文化的背景や歴史的背景を理解することを目的とします。
「口説く」、「片思い」、「恍惚と不安」、「失われた恋」という個別的な出来事としての「恋愛」を歌った詩篇だけでなく、普遍的な「愛」という概念や「愛のありかた」について思考された詩篇も扱います。また、いわゆる伝統的な「フランス詩」だけでなく、出自を他の国に持つ詩人、旧植民地の詩人、海外県の詩人による作品も対象にします。

到達目標

1. 韻律、音の効果、レトリックを分析し、詩作品の独自性を図ることができる。
2. 詩篇がもつ文化的背景や歴史的背景を理解し、他の時代、地域の作品との比較・考察ができる。
3. 詩作品を自らの言葉で解釈できる。

授業計画

1 ガイダンス(授業内容及び授業の進め方について)。
2 「愛の詩」序論。
3 詩の読み方1:syllabeの数え方。césureの概念。
4 詩の読み方2:rimeの効果 。詩のリズムについて。
5 詩の読み方3:様々なレトリックや音の効果の説明。定型詩の紹介。
6 詩の読み方4:韻律分析の実践1(理解度の確認)。
7 詩の読み方5:韻律分析の実践2(理解度の確認)。
8 フランス詩における様々な愛のかたち:導入及び参考文献の紹介。
9 「恍惚と不安」:ルイーズ・ラべ(16世紀)
10 「恋人と交わすまなざし」:モーリス・セーヴ(16世紀)
11 「愛の賛歌」:ピエール・ド・ロンサール(16世紀)
12 「秋の恋」:シャルル・ボードレール(19世紀)
13 「BL(?)―詩人同士の交感」:アルチュール・ランボーとポール・ヴェルレーヌ(19世紀)(1)
14 「BL(?)―詩人同士の交感」:アルチュール・ランボーとポール・ヴェルレーヌ(19世紀)(2)
15 予備日
16 韻律分析の復習。20世紀詩を読むための前置き。
17 「失われた恋」:ギョーム・アポリネール(20世紀)
18 「いつでも愛を」:ピエール・ルヴェルディ(20世紀)
19 「知の交わり(?)」:ポール・ヴァレリーとカトリーヌ・ポッジ(20世紀)
20 「シュルレアリストの愛(1)」:ポール・エリュアール(20世紀)
21 「シュルレアリストの愛(2)」:ロベール・デスノス(20世紀)
22 「(元)シュルレアリストの愛(3)」:ルイ・アラゴン(20世紀)
23 「愛と自由」:レジスタンスの詩人ポール・エリュアール(20世紀)
24 フランス語圏の詩人を読むための序論-マルティニックとアフリカの旧植民地を中心に。
25 「ニグロの詩人」:エメ・セゼール(20世紀)
26 アラゴンとセゼール:「国民詩」vs「民族詩」―フランス的伝統への愛と民族への愛(20世紀)
27 「アンティーユ性」:エドゥアール・グリッサン(20世紀)
28 「スラム」と「イスラム」:アブダル・マリック(21世紀)
29 授業の総括。
30 予備日。
授業の詳細は初回の授業で指示します。
授業計画はあくまで目安ですので、進度や受講者の興味にあわせて変更する場合があります。

授業方法

演習形式。
講師の解説だけでなく、受講者の輪読と発表、及びディスカッションによって授業を進めていきますので、皆さんの積極的な発言を期待しています。発表に関してはグループ発表を取り入れる場合もあります。

準備学習

訳読や発表の担当者以外も配布資料の必要部分をすべて読み、自分なりの解釈を準備しておくこと。

成績評価の方法

レポート:40%
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):60%

教科書

プリントを配布します。

参考文献

詩の読み方に関する参考文献は初回の授業で指示します。また扱う詩人ごとに参考文献を指示します。

履修上の注意

履修者数制限あり。
第1回目の授業に必ず出席のこと。