資・史料整理法
092-E-211

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
近松 鴻二 講師 4 2~4 通年 1

授業概要

資・史料は歴史系博物館の血液といわれる。血液は健康でなければ、その生命体は十分な活動ができない。血液の健康維持のためには、日常の「手入れ」が欠かせない。博物館に於いてその「手入れ」に相当するのが、資・史料の整理である。本講義では資・史料の整理の基礎的な知識の習得を目指す。さらに、史料整理には古文書、とくに近世古文書の「くずし字」の読解力が必要となるので、「くずし字」の読解力の向上をはかる。「くずし字」の読解力の向上には常日頃から古文書に接することが大事なので、配布する古文書のコピーと釈文で繰り返し講読すること。

到達目標

1学期-歴史系博物館の資・史料の概要と調査・研究に裏付けられた基礎的な整理方法を習得する。
2学期-多様な近世文書(もんじょ)に接し、必要な基礎的知識を修得して古文書解読の基礎力をつける。

授業計画

1 ガイダンス:本講義の内容と進め方の説明
2 歴史系博物館の現状と課題(1)現状
3 歴史系博物館の現状と課題(2)課題と展望
4 歴史系博物館の資料(1)博物館資料とは
5 歴史系博物館の資料(2)博物館資料の活用
6 歴史系博物館の資・史料(1)資料と作品
7 歴史系博物館の資・史料(2)資料と史料
8 資・史料の分類(1)「物」の分類
9 資・史料の分類(2)分類表
10 古書入札会下見展観の見学(1)古書入札会下見展観の概要と調査資料の選択
11 古書入札会下見展観の見学(2)見学・調査の実施
12 古書入札会下見展観の見学(3)見学・調査の報告
13 歴史系博物館の見学(1)江戸東京博物館本館 資・史料整理の観点から見た展示品と解説文の検証およびレポートの作成
14 歴史系博物館の見学(2)江戸東京博物館別館江戸東京たてもの園 野外展示の実見と活用法の検証およびレポートの作成
15 資・史料の整理に必要な和暦の西暦表示について
16 近世古文書の講読(1)基礎編;版本『実語教』を読む。①
            古文書解読の基礎知識 1 使用文字 漢字
17 近世古文書の講読(2)基礎編;版本『実語教』を読む。②
            古文書解読の基礎知識 2 使用文字 漢字、仮名
18 近世古文書の講読(3)基礎編;版本『実語教』を読む。③
            古文書解読の基礎知識 3 文体 敬意 熟語
19 近世古文書の講読(4)武家文書;「武家諸法度」を読む。
            古文書解読の基礎知識 4 干支(十干十二支) 
20 近世古文書の講読(5)武家文書;「柳営日次記」を読む。
            古文書解読の基礎知識 5 方位(十二支による方角表示)
21 近世古文書の講読(5)武家文書;「生類憐み令」を読む。
            古文書解読の基礎知識 6 時法(時刻表示) 
22 近世古文書の講読(6)瓦版;彰義隊討伐の瓦版を読む。
            古文書解読の基礎知識 7 暦(こよみ)  
23 近世古文書の講読(7)町方文書;四谷塩町一丁目の「書役日記」の慶応4年5月15日条を読む。
            古文書解読の基礎知識 8 度量衡
24 近世古文書の講読(8)人名;『有司武鑑』の勘定奉行の項を読む。
            古文書解読の基礎知識 9 武士の名乗(名前が二つ)
25 近世古文書の講読(9)人名;大和郡山藩の江戸詰藩士の名簿を読む。
            古文書解読の基礎知識 10 旧国制(武蔵や相模) 
26 近世古文書の講読(10)人名;四谷塩町一丁目の「人別書」を読む。
            古文書解読の基礎知識 11 通貨(金、銀、銭の3貨幣) 
27 近世古文書の講読(12)人相書;四谷塩町一丁目の「御触留」を読む。
            古文書解読の基礎知識 12 元号(大化から平成)
28 近世古文書の講読(13)幕府からの給付金;四谷塩町一丁目の「御触留」を読む。
            古文書解読の基礎知識 13 和暦の西暦表示
29 授業のまとめ
30 自主研究
事前に教材を配布するので一読しておくこと。2学期の古文書講読については繰り返しの復習が、読解力向上の王道です。

授業方法

教室での座学を主に外部の見学を数回実施する。

準備学習

授業中配布した教材をよく読んでおくこと。

成績評価の方法

レポート:20%(容量よくまとめること)
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):80%(可能な限り出席すること)
出席は毎回配布するカードに記入する。

教科書

教材はその都度配布する。

参考文献

授業時に指示する。

履修上の注意

履修者数制限あり。(30名)
第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

授業を欠席する(した)ときには、できるだけ「届」を出すように。遅刻をしないように、遅刻は2回で欠席1とする。