論理学
論証の分析と評価―
007-D-003

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
三平 正明 講師 4 通年 4

授業概要

論理学は、日常生活や学問の場面で行われるさまざまな論証を取り上げて、その正しさを研究する学問です。論理学の体系的研究はすでに古代ギリシアから始まっていますが、それが飛躍的な発展を遂げたのは、歴史的に見ればつい最近のこと、すなわち19世紀後半以降のことです。授業では、こうした現代の論理学の基礎的な部分を取り上げます。また、入門で大事なのは、論理学上の成果を知ることよりもむしろ、私たちが日々行っている論証の中で働く「論理」をあらためて観察し、味わってみることでしょう。そのため、授業の重点は、実際に論証を分析し、その正しさを評価するという作業に置かれます。このような作業を通じて、論証の分析と評価を行うための体系的手段を身につけてもらうことが、授業の目的です。

到達目標

さまざまな論証を分析して、その論理的な正しさを評価することができる。また、背理法などの代表的な推論方法を習得して、それを十分に使いこなすことができる。

授業計画

1 論理学とは?
2 人工言語を作ろう!:自然言語から形式言語へ
3 この言語の意味論:論理結合子の意味と真理表
4 トートロジーと矛盾
5 論理的同値、同値変形
6 論証の妥当性
7 自然演繹の方法とは?
8 推論規則(1)
9 推論規則(2)
10 推論規則(3)
11 推論規則(4)
12 練習問題を解こう!
13 自然演繹の方法は信頼できるか(1)
14 自然演繹の方法は信頼できるか(2)
15 まとめ
16 命題論理から述語論理へ:文の内部構造を分析する必要性
17 名前と述語、変項と量化子、ヴェン図
18 関係表現
19 多重量化
20 述語論理の言語とその意味論(1)
21 述語論理の言語とその意味論(2)
22 論証の妥当性
23 自然演繹の方法を拡張する
24 量化子の推論規則(1)
25 量化子の推論規則(2)
26 量化子の推論規則(3)
27 同一性
28 同一性の推論規則(1)
29 同一性の推論規則(2)
30 理解度の確認
この授業では、特別な予備知識は何も必要としません。履修者に求められているのは、実際に手を動かして日本語の文を形式言語に翻訳したり、真理表や証明図を作成したりすることだけです。

授業方法

毎回、基本的な事項と例題が説明された後、自分で練習問題を解くという手順になります。論理学なので、ただ話を聞くだけでなく、実際に自分の手を動かすことが大切です。

準備学習

授業時間内で扱える問題には限りがあります。そのため、授業で扱った題材に関して小課題が出ますので、それを次の授業時に提出してください(約1時間)。

成績評価の方法

第2学期(学年末試験):80%(命題論理と述語論理について、基本的な推論能力を身につけたかどうかを見ます。)
小テスト:20%(論理学は積み重ねなので、各基本事項が理解されているかどうかを見ます。)
学年末試験が成績評価の中心です。それに小テストや課題の点を加えます。論証の分析と評価のための基本的な手段を身につけたかどうかが、成績評価の基準です。なお、小テストや課題については、採点し、コメントを付与して、返却します。

教科書

教科書は使用せず、毎回プリントを配布します。

参考文献

戸田山和久『論理学をつくる』、名古屋大学出版局
金子洋之『記号論理入門』(哲学教科書シリーズ)、産業図書
前原昭二『記号論理入門』、日本評論社
Graeme Forbes, Modern Logic, Oxford UP, 1999