舞台・映像芸術B
007-D-018

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
彦江 智弘 講師 4 通年 3

授業概要

 映画は私たちの日常に当たり前のように存在している。もはや映画館に出向かなくても、様々なメディアを通して映画は偏在しているとさえ言えるだろう。だがその反面、往々にして私たちは固定化した映画観しか持っておらず、そこでは映画という「当たり前」の存在が歴史的な変遷を経て形作られたものであることが忘却されている。このような忘却は、私たちの「現在」を批判的に見返す視点を忘却することでもある。また現在を更新していく手がかりがそこに隠されているかもしれない。実際、映画の歴史的な変遷を辿ることは、映画が持っていた、あるいはこれから手にするだろう様々な可能性を意識化することに他ならない。このような観点から本講義においては、重要な動向・映画作家を取り上げながら映画史の概括を試みる。

到達目標

①映画がどのような変遷を辿って発展したのかを学び、映像芸術についての歴史的パースペクティブを獲得することができる。②個々の映画作家の作品のより詳細な分析を通して、映像読解の初歩を身につけることができる。

授業計画

1 イントロダクション
2 映画とは何か?
3 映画の誕生
4 リュミエール兄弟
5 初期映画の世界 
6 古典的ハリウッドの成立 
7 D.W.グリフィス
8 エイゼンシュテイン
9 20年代のドイツ映画とフランス映画
10 サイレント/トーキー
11 サイレント・コメディ
12 30年代:ハリウッドの黄金時代
13 ハワード・ホークス
14 理解度の確認
15 前期の振り返り
16 30年代のフランス映画
17 40年代のハリウッド①ヒッチコック
18 40年代のハリウッド②ウェルズ 
19 戦後映画の始まり:ロッセリーニ
20 ブレッソン
21 ヌーヴェルヴァーグ①概括
22 ヌーヴェルヴァーグ②映画作家たち
23 戦後映画の展開
24 大島渚
25 ヴィム・ヴェンダース
26 アジア映画の監督たち
27 北野武
28 ゴダール
29 理解度の確認
30 振り返り
授業の進み具合、受講者のリアクションを見ながら、上記の予定を若干変更することがある。

授業方法

講義形式で授業を行うが、受講者が自分の考察を述べる機会も設けていきたい。

準備学習

授業で取り上げた作品を、復習として各自見ること。また、指定した映画を事前に劇場で、あるいはDVDで鑑賞しておいてもらうことがある。

成績評価の方法

第1学期(学期末試験):50%
第2学期(学年末試験):50%
成績は基本的に学期末テストによって評価する。なお、授業の進行を妨げるような私語・遅刻・途中退出などが目立つ学生は、点数を大幅に減点するので注意すること。

参考文献

蓮實重彦『ハリウッド映画史講義』、ISBN=4480871764
北野圭介『ハリウッド100年史講義』(平凡社新書)、ISBN=9784582851083
レフ・マノヴィッチ『ニューメディアの言語』、ISBN=9784622077312
四方田犬彦『日本映画史110年』(集英社新書)、ISBN=9784087207521
村山匡一郎『映画史を学ぶクリティカル・ワーズ』、ISBN=9784845903481

履修上の注意

履修者数制限あり。
第1回目の授業に必ず出席のこと。