日本美術史A
日本美術史概説―
007-D-020

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
庵原 理絵子 講師 4 通年 4

授業概要

この授業は、日本美術史の入門編です。美術に関する特別な知識はあらかじめ要りません。縄文から現代にいたるまで、日本列島においてつくられた造形作品を時代の流れに沿って見ていきます。
幸運なことに、私達は先人が遺してくれた「もの」を実際に目にする機会に恵まれています。それらは、いったいどのような事情で、どのような技術をもって、つくられたのでしょうか。現代にいきる私達が、その造形に魅力を感じるとしたら、それはなぜでしょうか。
作品に込められた、わざ、思い、背景を丁寧にすくい取り、知ることによって、縁遠かった過去の遺物が、時代を超え、身近に感じられるかもしれません。
明治時代、はじめて体系的に日本美術史を構築しようとした岡倉天心は、「世人は歴史を目して過去の事蹟を編集したる記録、すなわち死物となす。これ大なる誤謬なり。歴史なるものは吾人の体中に存し、活動しつつあるものなり。畢竟古人の泣きたるところ、古人の笑いたるところは、すなわち今人の泣き、あるいは笑うの源をなす。」(『日本美術史』)と言いました。
これはどのような意味でしょうか。まずはそんなところから入っていきましょう。

到達目標

・日本美術の大まかな流れを把握し、作品を鑑賞するための基礎知識を習得する。
・作品の造形がもつ面白さや魅力を自分の目で見て探り、制作背景を想像する力を養う。
・これまで日本美術史が探求してきた造形作品に対するさまざまなアプローチの仕方を知ることで、日本美術史という学問の輪郭をつかむ。

授業計画

1 イントロダクション―「美術」への接近―近代における美術制度と鑑賞
2 縄文時代 考古と美術―土偶、土器
3 弥生・古墳時代 支配者のための美術―銅鐸、埴輪、装飾古墳
4 飛鳥時代 仏教伝来と視覚文化の革命
5 奈良時代 寺院造営の拡大と古典様式の成立
6 平安時代(1)神仏の新たなかたち、密教美術の広がり
7 平安時代(2)和様彫刻の形成
8 平安時代(3)美麗なる仏画と浄土への願い
9 平安時代(4)やまと絵の発生と絵巻の見方
10 鎌倉時代(1)鎌倉幕府と彫刻―運慶、快慶の活躍
11 鎌倉時代(2)肖像画の展開と絵巻の多様性
12 鎌倉時代(3)神と仏と人―縁起絵と垂迹画
13 室町時代(1)禅宗文化と会所
14 室町時代(2)水墨画とやまと絵
15 まとめ
16 室町〜桃山時代 「和」「漢」の融合―狩野派の絵画
17 桃山時代(1)天下人と絵師―永徳と等伯
18 桃山時代(2)「かぶく」造型とわび茶の確立
19 江戸時代(1)日光東照宮、桂離宮、二条城にみる装飾美術
20 江戸時代(2)町衆の美術―宗達と光悦、光琳まで
21 江戸時代(3)京都の絵師たち―文人画と写生画
22 江戸時代(4)江戸の絵師たち―遊里と浮世絵
23 江戸時代(5)江戸の絵師たち―洋風文化の受容と浮世絵
24 明治時代(1)万国博覧会の美術
25 明治時代(2)「日本画」と「洋画」の誕生
26 明治時代(3)画壇と展覧会
27 大正時代 自己表現のための芸術
28 昭和前期 戦争と芸術
29 戦後から現代 前衛と伝統
30 まとめ

授業方法

パワーポイントやDVD、プリント等を使用し、講義形式で進めます。

準備学習

授業でもその時開催されている展覧会を紹介しますが、美術館、寺院等で鑑賞する機会を積極的に得るよう心がけてください。百聞は一見にしかず、です。
復習の手段として、講義で扱った作品の画像を閲覧できるようにします。細部や気になるところなど適宜確認してください。

成績評価の方法

第1学期(学期末試験):40%
第2学期(学年末試験):40%
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):20%
各学期末の試験や、毎回の授業の終わりに書いてもらうコメントペーパーをあわせて、総合的に評価します。第1学期と第2学期両方の試験を受験しないと(またはレポート提出)、成績は不可となるので注意してください。コメントペーパーでの質問は、可能な限り授業の始めに返答し、履修者全員で問いを共有します。

参考文献

授業時に適宜紹介します。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。