日本国憲法B
007-D-025

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
中村 良隆 講師 2 第1学期 2

授業概要

法学とは六法の条文を暗記することではなく「法律家のように考える(thinking like a lawyer)」ことを学ぶことだとよく言われます。
 「法律家のように考える」とは何かについて、①言葉を注意深く使うこと、②論理的思考や③善悪・正誤の判断能力、④相手の言い分に耳を傾け、双方の立場に立って議論を立てられること、⑤理想と現実とを架橋することといった点が挙げられています。ここでは、オリバー・ウェンデル・ホームズ裁判官の有名な言葉を引用しておきたいと思います。
 「法の生命は論理ではなかった。それは経験であった。・・・法は何百年にもわたるある国の発展の物語を具体化したものであり、それが数学の書物の公理やその論理的帰結のみを含んでいるかのように扱うことはできない。それが何であるかを知るためには、我々はそれがかつてどうであったか、そしてそれがどうなろうとしているかを知らなければならないのである。」
 非論理的で扇情的な議論に惑わされず、戦後70年の「法と慣習」を無視するような言説を見分けることができるような賢い市民となるためにも、日本国憲法の持つ意味を考えてみたいと思います。

到達目標

1)憲法とは何か、法律一般とはどのように違うのか、何のためにあるのかを理解する。
2)近代社会において、個人にどのような基本的な権利や自由が保障されるようになったかを理解し、現代においてそれらがどのような場面で問題となるのか、どのような試練に直面しているのかを知る。
3)歴史的(特に明治憲法下)、比較法的(特にアメリカ合衆国、あるいはヨーロッパ諸国)に見た場合に、現行の日本国憲法体制(法的にみた「この国のかたち」)はどのような特色を持っているのかについて考えてみる。

授業計画

1 「法の支配」、憲法の意義
2 社会契約論、ホッブズとロックの思想
3 大日本帝国憲法と日本国憲法、日本国憲法制定の過程
4 人権の観念と内容、人権の享有主体、天皇制と人権
5 公共の福祉
6 私人間における人権の適用
7 幸福追求権、プライバシーの権利
8 法の下の平等
9 表現の自由、特に報道の自由について
10 公務員に対する人権の制約、政治的行為の禁止と労働基本権の制限
11 生存権
12 三権分立、議院内閣制、違憲審査権
13 平和主義、集団的自衛権の違憲性
14 憲法改正
15 定期試験

授業方法

基本的には講義形式で進めますが、時には受講者をあてて意見を聞くこともあります。毎回の授業終了時に数分の時間を取り、ミニット・ペーパーを書いてもらう予定です。書くべき内容は、①今日学んだことのうち、最も興味深かったこと(中心的な、役に立つ、意味のある、驚いた、あるいは問題だと思われること)、②一番心に残ったこと・気になったこと、③授業を聴いて思い浮かんだ疑問・質問などです。

準備学習

予習:設問・設例のプリントの該当個所や、授業中に出題された問題について自分なりに考えてくること。
復習:授業を聴いた後に、配布資料や教科書の関連箇所を読んで理解しようと努めること、試験の前の勉強としては、ノートや参考書を見ながら、当該テーマに関する「文章のまとめ」を自分で作ってみることです。

成績評価の方法

第1学期(学期末試験):60%
レポート:25%
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):15%
レポートは、参考書または課題図書(後日指定します)の中から自分で1冊を選び、内容の要約と自分の意見・感想をまとめてください。

教科書

芦部信喜・高橋和之『憲法』第6版、岩波書店2015年、ISBN=4000227998

参考文献

内山奈月・南野森『憲法主義』(PHP文庫)、PHP研究所2015年、ISBN=4569764800

履修上の注意

履修者数制限あり。(250名)
第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

履修希望者は4月3日(月)までに学生センター教務課より配信される抽選についてのG-Portお知らせを必ず確認し、その指示に従ってください。日本国憲法Cは第2学期科目ですが、日本国憲法A、Bと同時に抽選を行いますので、注意してください。日本国憲法A、B、Cはそれぞれ同じ内容の予定です。抽選方法の詳細については、G-Portのお知らせに記載します。
第1回目の授業には必ず出席してください。