近代日本と学習院
007-D-061

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
高埜 利彦 教授
桑尾 光太郎 講師
4 通年 2

授業概要

学習院は幕末の京都におかれた公家の学問所を淵源とし、明治維新を経て1877年東京に開設された。第二次世界大戦後に官立学校から私立学校への転換を経験し、1949年に学習院大学が開学した。本年創立140周年を迎える学習院の特異なあゆみは、日本近代・現代の歴史と深く関わっている。また学習院の卒業生や教員には、政治・軍事・文芸・学術など、さまざまなジャンルで活躍した人物が少なくない。私たちが日常を送る身近な場所を題材に、日本近代・現代ならびに高等教育の諸問題を考えることが授業の目的である。
授業では学習院アーカイブズほかが所蔵する文書・写真等の史資料を紹介する。大学の組織・教育研究・キャンパスや課外活動は、どのように形成され変容してきたのか。時代の流れのなかで学生や教職員は何を考え、どのように行動してきたのか。史資料からそれらを読み取り、みずからが大学で学ぶ意味を考えてもらいたい。

到達目標

史資料から歴史的事実を理解し、学習院および日本の高等教育のたどった歩みを自分の言葉で説明できるようにする。
現代の大学や学生が抱える問題を、過去の出来事や言説を踏まえて考察できる力をつける。

授業計画

1 京都の学習院と幕末維新期の政治変動
2 華族の創出と学習院の開設
3 明治国家形成と学習院の教育
4 女子教育の始まりと華族女学校
5 校地の変遷と教育制度の確立
6 目白キャンパスの形成と学生の活動
7 乃木希典院長と白樺派
8 明治の終焉と学習院・女子学習院
9 戦前期の高等教育―学習院はどのように見られていたか―
10 昭和の社会変動と学生
11 戦時体制の形成と学習院の教育
12 戦争の長期化と学校教育の崩壊
13 疎開・勤労動員・学徒出陣・空襲
14 敗戦前後の学習院・女子学習院と学生
15 1学期のまとめ
16 宮内省からの独立構想と存続の危機
17 GHQとの存続交渉と山梨勝之進院長
18 私立学習院の出発と経営難―安倍能成院長の苦闘―
19 戦後教育改革と新制大学の構想
20 学習院大学の開学と教員・学生
21 大学の組織整備―1952年の契機―
22 戦後社会の中の学習院大学
23 大学の発展とキャンパスの総合整備
24 女子学生の増加と進路問題
25 高度成長・大学の大衆化とその歪み
26 1960年代後半の大学紛争―全共闘運動―
27 紛争後の大学と学生文化の変容
28 入試・カリキュラム・就職動向の移り変わり
29 大学「改革」の時代
30 1年のまとめ―大学で得る「教養」とは―

授業方法

講義形式。適宜プリントを配布し画像を紹介する。

準備学習

日本近現代史の基本的な概説書に目を通しておいてほしい(それぞれの授業前に30分程度)。

成績評価の方法

第2学期(学年末試験):50%
レポート:40%(第1学期学期末試験に代えて課す)
小テスト:10%(授業時のコメントもしくは小レポート)

参考文献

『学習院大学五十年史(上巻・下巻)
『学習院百年史(全三編)
他は授業時に随時紹介する。多くの本を手にとって関心のある領域を拡げてほしい。