日本政治過程論Ⅰ
政治制度と政治過程に関する概説―
012-A-313

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
坂本 孝治郎 教授 2 1~4 第1学期 4

授業概要

まず最初に、日本政治の現在状況を話題にしつつ、「政治過程論」とは何かについて紹介します。そして、日本政治の1年がどのように制度化されて展開しているか、それを把握してもらうために、議会日程や予算編成日程それに外交日程などについて略述、また5月連休期などの儀礼日程の歴史的・政治的な意義について重点的に言及します。続いて、選挙・内閣・政党・国会などの政治制度について、比較視座をまじえて概説していきます。すなわち、第1学期は日本政治の制度的な特質や実態について理解を深めてもらうことを目指します。

到達目標

選挙、内閣、議会、政党など基本的な制度に関して比較理解が進むことは当然ですが、日本政治の日程展開について予測的観察もできるようになります。すなわち、政治学科の学生として具体的・実際的な議論が展開できる能力がつくでしょう。

授業計画

1 日本の政治の現在状況と政治過程論をめぐって
2 日本政治の時間構成(1):予算編成・国会審議・祝祭日等の日程
3 「五月連休」の政治学:議会日程と政治儀礼
4 日本政治の時間構成(2):英国政治の時間構成との比較
5 「選挙制度」をめぐって
6 衆院総選挙と参院選挙の具体的結果について
7 「執政制度」の類型とリーダーシップ論をめぐって
8 日本の議院内閣制と「内閣組織」の実態について
9 「政党制度」:政党システムと政党組織
10 「政権与党・公明党」について
11 「議会制度」:効率性と開放性をめぐって
12 日本の議会ルールについて
13 日本の立法過程:内閣提出法案を中心として
14 英国の立法過程と英国議会の三大ハイライトについて
15 総括的な理解度の確認
原則として、シラバスの順番どおりに講義していく予定ですが、場合によっては前後を入れ替えることもあります。

授業方法

基本的にレジュメや多くの資料を配布し、それに即して内容を口頭で説明・概説していくが、ときに現在進行形の政治状況に言及することもあります。また、事前・事後に提出された質問メモに適宜・即興的に回答いたします。もとより、授業中の質問も歓迎します。

準備学習

日本政治に関する現在報道を新聞等で日常的にフォローし、制度が実態的にどのように運用されているのか、主要な政治的プレイヤーの固有名詞も覚えて、アクチュアルな感度を磨いてください。

成績評価の方法

第1学期(学期末試験):90%
授業に関する評価意見やアンケート等を加味する予定です。:10%
記述式の設問への回答(内容および分量)を基に評価します。加えて、ときに出席者に質問メモや中途での感想を提出してもらい、あるいは簡単な宿題を課し、それらを参照します。

教科書

特別に指定する教科書はないが、各回のテーマについては、配布するレジュメに参考文献や論文などが記載してあります。

参考文献

建林正彦・曽我謙悟・待鳥聡史『比較政治制度論』(有斐閣アルマ)、有斐閣2008年、ISBN=9784641123649
待鳥聡史『政党システムと政党組織』(シリーズ日本の政治・6)、東京大学出版会2015年、ISBN=9784130321266
川人貞史『議院内閣制』(シリーズ日本の政治・1)、東京大学出版会2015年、ISBN=9784130321211

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

新聞・オンライン記事やテレビ報道などを適宜フォローして、「どういった舞台で、いかなるアクターが、どう発言し振る舞って、何が起きているのか」などの基礎的な情報を不断に入手し、また月刊誌などで提起・整理されている論点にも注目して、日本政治に関する感度を自主的に上げて批評眼を鍛えていくよう期待します。