古典ラテン語A(初級)
030-B-001

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
金澤 修 講師 4 1~4 通年 5

授業概要

本授業は、古典ギリシア語と共に、ヨーロッパ文化の源流を形成する古代語であり、世界帝国・ローマの主要な言語であったラテン語を学ぶことによって、かかる時代の哲学思想の根元的な理解への第一歩を築くことを目的としています。ラテン語によって表された哲学思想は、いわゆるヘレニズム期には古典ギリシア語に対し副次的なものでしかありませんでしたが、ローマ帝政期も三世紀を過ぎる頃になると、キリスト教神学を中心に膨らみ、その余波はルネッサンス期に至るまで続きます。学問言語としてのラテン語は、ルネッサンスを過ぎた後も影響を与え、21世紀の今もこの言語による著述は続いています。言語の系統という観点からすれば、ラテン語は、フランス語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、ルーマニア語等の祖先に当たり、主にフランス語を経由して英語にも多くの語彙を提供しています。このためラテン語を学ぶことによって、上記の近代諸言語の文法的・語彙的・歴史的な理解がより深められると思われます。

到達目標

英語などのヨーロッパの近代言語を学習したかたは驚くかもしれませんが、一般に古典語と言われるギリシア語、ラテン語、サンスクリット語などは初級文法を習得しないかぎり辞典を引くことさえもままなりません。というのもこれらの言語では、動詞はもちろん名詞さえも、いわゆる「変化」をするために、眼前の単語がどのような形態なのかわからないと辞典記載項目にたどり着けないからです。従って、辞典の記載項目にたどり着ける分析能力を習得すること、これを本講座の第一の目標にしたいと思います。具体的に列挙すれば、以下の通りとなります。
1) 名詞・形容詞変化については、第一・第二・第三・第四・第五の各変化、および主要な代名詞変化の違いが理解できる。
2) 分詞、動名詞、動形容詞の概説的な用法が解る。
3) 動詞については、規則的な動詞の直説法における能動・受動の各相、および現在・未完了過去・未来・現在完了・過去完了・未来完了などの各時制変化が概観できる。また接続法の主な用法が理解できる。

授業計画

1 イントロダクション ラテン語とは?
2 文字と発音
3 動詞第一、第二変化と名詞第一変化
4 名詞第二変化、第一、第二変化形容詞、前置詞
5 動詞第三、第四変化と人称代名詞
6 動詞未完了過去、不定法、名詞第三変化(1)
7 動詞未来変化、指示代名詞、第三変化形容詞(1)
8 動詞完了直説法能動、名詞第三変化 (2)
9 関係代名詞、過去完了、未来完了直説法能動
10 名詞第三変化(3)、疑問文
11 命令法能動、名詞第三変化(4)
12 動詞、受動相現在、未完了過去、未来、第三変化形容詞(2)
13 副詞、受動相完了
14 前期の授業の総括
15 予備日
16 形容詞、副詞の比較級、最上級
17 形式所相動詞、名詞第四変化
18 形容詞、副詞の不規則な比較級、最上級、命令法受動相
19 名詞第五変化、分詞
20 不規則動詞、数詞
21 絶対奪格、不定法(1)
22 不定法(2)、接続法現在
23 非人称的動詞と非人称的表現、代名詞的形容詞、不定代名詞
24 接続法、未完了過去、スピーヌム
25 動名詞
26 動形容詞
27 接続法、完了、過去完了、禁止を表す文
28 ギリシア系名詞の変化、接続詞と従属文
29 後期の授業の総括
30 予備日

授業方法

まず前回出した宿題の解答を参加者が行います。
その上で今回の文法内容を教科書に基づいて説明し、必要な場合は授業内の課題を出します。
その上で今回学習した内容に関わる宿題を出しますので、翌週までに解答を作成してください。

準備学習

語学の授業ですから、出された宿題をこなすのは必須と考えてください。
予習ができればより良いですが、どちらかの場合は宿題も含め復習に努めてください。

成績評価の方法

第1学期(学期末試験):35%(変化形の再現、羅文和訳の正確さ)
第2学期(学年末試験):35%(変化形の再現、羅文和訳の正確さ)
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):30%(課題の達成度)
基本的には授業内で当てる宿題への回答と、期末時に実施する合計二回のテストによります。

教科書

松平千秋・国原吉之助『新ラテン文法』、東洋出版1990年、ISBN=9784809643019

参考文献

小林標『ラテン語の世界』(中公新書)、中央公論新社
逸見喜一郎『ラテン語のはなし』、大修館書店
水谷智洋『改訂版 羅和辞典』、研究社
必要があれば授業内で指示します。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

古典言語ですから、オーラルコミュニケーションが必要な場合は〔おそらく?〕ありませんので、ゆっくり学習してください。
ただし語学は一回休んでしまうと追いつくのが難しい場合があります。そのときは教員に申し出てください。遅れた分は少し急げば必ずフォローアップできます。
Festina lente!