※ギリシア・ラテン文学特殊研究 


  --『イーリアス』における戦闘場面―--
130-F-002

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
古澤 香乃 講師 4 2~4 通年 2

授業概要

現存する西洋文学最古の作品であるホメーロス『イーリアス』のなかから、特に戦闘場面に焦点をあてる。後の古代ギリシア・ローマ文学に留まらず、後世のヨーロッパ文学にも多大な影響を与えた『イーリアス』はトロイア戦争10年目の最終局面わずか50日あまり、実質14日の出来事を歌うギリシア英雄叙事詩である。このうち戦闘場面には4日が充てられ、作品全体の大きな部分を占めている。授業では第12歌から第15歌に及ぶ防壁をめぐる戦いと、生と死という作品のテーマとも密接に関連する遺骸をめぐる戦い(特に第16歌から第18歌を中心に)を扱い戦闘場面叙述を解釈する一方で、戦闘場面と作品全体の構成との関係についても考察する。また、こうした文学研究の観点にとどまらず歴史的・文化的・社会的・宗教的といった多様な側面に着目することで作品の包括的な理解を目指す。

授業の目的・内容

ホメーロス叙事詩の戦闘場面叙述そのもの、及び戦闘場面と物語全体との関係への理解を深める。併せて作品世界の歴史的・文化的・社会的・宗教的な側面にも留意した多角的な探求の実践を目指す

授業計画

1 授業の導入
2 防壁をめぐる戦いの導入
3 作品の分析『イリアス』第12歌
4
5 作品の分析『イリアス』第13歌
6
7
8
9 作品の分析『イリアス』第14歌
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12 作品の分析『イリアス』第15歌
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15 防壁をめぐる戦いのまとめ
16 遺骸をめぐる戦いの導入
17 作品の分析『イリアス』第16歌
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20 作品の分析『イリアス』第17歌
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23 作品の分析『イリアス』第18歌
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25 作品の分析『イリアス』第22歌
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27 作品の分析『イリアス』第24歌
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29 遺骸をめぐる戦いのまとめ
30 授業全体のまとめ
受講者と相談して、授業計画を変更する可能性がある。

授業方法

講義形式。ディスカッションやコメントの機会をも設ける。

準備学習

教科書となる文庫本を出来るだけ早く入手し、一通り読み終えることを推奨する。毎回授業で扱う範囲を指示するので、少なくとも各回の授業までに該当箇所をよく読み、また自分なりの疑問点や考えを言葉にできるようにすること。

成績評価の方法

レポート:70%(第1学期・第2学期各1回)
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):30%(授業参加度(出席、ディスカッション、発言など))

松平千秋(訳)ホメロス『イリアス』(上下)、岩波書店1992
*受講を決めた学生はできるだけ早く入手すること。

逸身喜一郎『ギリシャ・ローマ文学─韻文の系譜』、放送大学出版2000
岡道男『ホメロスにおける伝統の継承と創造』、創文社1988
川島重成『西洋古典文学における内在と超越』、新地書房1986
川島重成・高田康成(編)『ムーサよ、語れ─古代ギリシア文学案内』、三陸書房2003
川島重成『「イーリアス」ギリシア英雄叙事詩の世界』(岩波人文書セレクション)、岩波書店2014