美学講義
031-A-232

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
島尾 新 教授 4 2~4 通年 1

授業概要

「日本人」が、どのようなものを「美」としてきたかを、具体的な作品と芸術についての語りを紹介しながら考える。前期は、日本の歴史のなかで「美」という語が包み込んできたものを確認した上で、いまそれが指示し得るものを見、次に過去にそうであったものを見ながら、多様性のなかにいかなる核があるのかを考える。後期は、いくつかのジャンルについて、「美」の理論と実際とを対応させながら見てゆく。

到達目標

日本における「美」の多様性と、芸術についての理論を理解しながら、それらについて自分なりに語ることができるようにする。

授業計画

1 イントロダクション
2 日本美術の特質(1)日本美術の多様性
3 日本美術の特質(2)日本美術の特質はどのように語られてきたのか
4 「美」ということば・「美学」ということば(1)
中国の「美」・前近代の日本の「美」
5 「美」ということば・「美学」ということば(2)
明治以降の「美」
6 日本美術の総合性(1)
漢字・ひらがな・カタカナそして書
7 日本美術の総合性(2)
建築と庭園ー人工と自然
8 日本美術の総合性(3)
ジャパニメーションの無国籍性
9 日本美術の総合性(4)
和漢の構図・和洋の構図(1)
入れ子の文化構造
10 日本美術の総合性(5)
和漢の構図・和洋の構図(2)
異文化を取り込むシステム
11 日本美術の総合性(6)
非分類的なシステム・絵画・工芸・書……
12 日本文化の総合性(8)
美の理論と実際(1)歌論・連歌論
13 日本文化の総合性(9)
美の理論と実際(2)能楽論・茶道論
14 前期のまとめ
15 理解度の確認
16 各論(1)神々の姿(1)
『古事記』と土偶/不可視の造型
17 各論(2)神々の姿(2)
仏の美/かたちの継承
18 各論(3)簡素と美麗
「総合の美学」と「そぎおとしの美学」
19 各論(4)ジャパニーズデザイン
変わり冑と
20 各論(5)水墨の美・余白の美(1)
松林図
21 各論(6)水墨の美・余白の美(2)
水墨表現のさまざま
22 各論(7)リアリズムの美
生人形と自在置物
23 各論(8)金色の諸相
蒔絵と金地屏風
24 各論(9)造型としての能
「丹後物狂」を見ながら
25 各論(10)感性の美術
解釈したくないもの
26 各論(11)ミニチュアの楽しみ
印籠・根付
27 各論(12)振り返ってみる(1)
28 各論(13)日本映画の表現
小津安二郎の作品から
29 全体のまとめ
30 理解度の確認

授業方法

毎回、テーマとなる「作品」あるいは「理論」を提示し、それについて考え得ることを展開してゆく。講義形式ではあるが、毎回テーマを設定し、それについて簡単なコメントを書くことを求める。

準備学習

前の週で見たもの・読んだものについて、次週に簡単にコメントできるよう準備すること。事前に読んでおくべき文献のコピーを配布することもある。(時間は内容によるが30分程度)

成績評価の方法

レポート:40%
小テスト:30%
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):30%
毎回提出してもらうコメントペーパーと出席率に学年末のレポートを加えて評価する。コメントペーパーの質問については毎回対応し、場合によっては提出した学生との対話により全体の理解を深める。