基礎演習A
031-A-110

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
渡辺 和典 講師 4 1 通年 3

授業概要

Karl Popper, The Open Society and its Enemiesをメインテクストとする。
 本書は、主として政治哲学および歴史哲学を批判的に論じることによって、われわれの生きる社会構造を新たに捉え直す試み、ないし、社会改造の原則を吟味するものと特徴づけられている。大部の著作であるため、論じられるテーマもまた広範囲に渡るが(主な主題はプラトン批判とマルクス批判になるが)、本演習では、特に「歴史主義 historicism」の批判的検討として論じられたプラトン批判を中心に読解を進める予定である。この作業を通じて、われわれが生きる社会体制に対して、自ら批判的に考える基礎体力を培いたい。
 また、テクストで論じられる諸問題に付随する、哲学史的な文脈や哲学的な語彙についての知識の獲得を目指すと共に、自らの思考を適切に表現することの訓練にも努めたい。

到達目標

ポパーのテクストを精読する演習を通じて、「哲学すること」に必要な知識の習得と、その作法、さらには、自らの考えを適切な表現および語彙を用いて表現する能力の向上をはかり、2年次以降の専門研究のために活かすことができる。

授業計画

1 イントロダクション(授業の進め方、文献案内など)
2 読解
プラトンの呪文
3 読解
第1章 歴史主義と運命の神話
4 読解
第1章 同上1
5 読解
第1章 同上2
6 読解
第1章 同上3
7 読解 
第1章 同上4
8 読解
第1章 同上5
9 読解
第1章 同上6
10 読解
第2章 ヘラクレイトス
11 読解 
第2章 同上1
12 読解
第2章 同上2
13 読解
第2章 同上3
14 まとめ、テクスト読解およびレポート課題の提示
15 到達度確認
16 課題レポートのプレゼンテーション1(レポートの基本形式の確認)
17 課題レポートのプレゼンテーション2(脚注、文献表記の確認)
18 課題レポートのプレゼンテーション3(論理展開の確認)
19 読解
第2章 ヘラクレイトス
20 読解
第2章 同上4
21 読解
第3章 プラトンの形相ないしイデア論
22 読解
第3章 同上1
23 読解
第3章 同上2
24 読解
第3章 同上3
25 読解
第3章 同上4
26 読解
第3章 同上5
27 読解
第3章 同上6
28 読解
第3章 同上7
29 一年のまとめ、およびレポート課題の提示
30 到達度確認
授業計画はあくまで計画であるため、進度は目安であることを留意されたい。

授業方法

担当者による訳読を基本とする。適宜、議論の場を設ける。テクスト理解のために哲学史的知識を、必要に応じて補う。また、毎回、読解箇所の論点や議論をまとめた記録(プロトコル)を担当者に作成してもらう。 

準備学習

事前に読解箇所の予習を必ずしておくこと。

成績評価の方法

レポート:60%(第1学期1回、第2学期1回、レポートを提出してもらう)
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):40%(確実に予習がなされているか、また、読解の精度)

教科書

The Open Society and Its Enemies, Routledge, 2003, ISBN:0-415-23731-9
当方でマスターコピーを用意し、これを各自コピーしてもらう。

参考文献

適宜、授業時に指示する。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

テクストの予習を必ず行うこと。その際、精確に文章を読解するとともに、文と文、段落と段落の連関を捉え、そこで問題となっている事柄を追えるように努力すること。また、専門用語についても、可能な限り事前に調べておくこと。