日本史特殊講義
中世の武士と武士団の研究―
032-A-201

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
田中 大喜 講師 4 2~4 通年 4

授業概要

世襲制の職業戦士である中世の武士は、武士団という社会集団(領主組織)を形成し、中世の社会を動かす存在へと成長していきました。本講義では、主に院政期から南北朝期における武士および武士団の存在形態を追究することで、当該期の社会の特質について論じていきます。

到達目標

中世の武士および武士団に関する研究史と研究の到達点を学び、その実態について理解を深める。また、史料の読解力の向上と史料から歴史像を構築する手法の習得を目指す。

授業計画

1 イントロダクション―中世の武士・武士団とはなにか―
2 移動する武士たち(1)都でつくられる人的ネットワーク
3 移動する武士たち(2)婚姻と亡命・流刑
4 中世荘園の成立(1)新田氏の人的ネットワーク
5 中世荘園の成立(2)新田荘の成立
6 治承・寿永の内乱(1)中世武士のネットワークと内乱
7 治承・寿永の内乱(2)中世武士のネットワークと地頭職
8 中世武士の奉公と所領経営(1)京・鎌倉の奉公
9 中世武士の奉公と所領経営(2)千葉氏・足利氏の散在所領経営
10 中世武士の奉公と所領経営(3)渋谷氏・三浦和田氏の散在所領経営
11 家督と惣領(1)惣領制とはなにか
12 家督と惣領(2)家督と惣領の融合
13 「兄弟惣領」の出現
14 南北朝期の「兄弟惣領」
15 「家督制」の成立
16 第1学期の復習
17 地域権力としての武士団(1)武士団の軍事的テリトリー
18 地域権力としての武士団(2)地域の町場に集う武士たち
19 地域権力としての武士団(3)仏教を興隆する武士団
20 地域権力としての武士団(4)人返法の誕生
21 南北朝内乱と武士団(1)武士の一揆
22 南北朝内乱と武士団(2)本領の選択と領域権力化
23 中世武士団のイエ支配権(1)イエ支配権とはなにか
24 中世武士団のイエ支配権(2)一門評定と幕府裁判1
25 中世武士団のイエ支配権(3)一門評定と幕府裁判2
26 惣領職の成立(1)「職」と惣領職について
27 惣領職の成立(2)偽文書に記された「惣領職」
28 惣領職の成立(3)「職」の変質の歴史的背景
29 一年の総括
30 予備日

授業方法

講義形式で進めます。

準備学習

授業前に、前回配布した史料レジュメに目を通し、疑問点をまとめておくこと(約45分)。授業後は、紹介した参考文献を読み、理解を深めること(約45分)。

成績評価の方法

第2学期(学年末試験):50%(授業内容の理解度を確認します。)
レポート:20%(提示する課題に適切に答えられているかを確認します。)
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):30%(出席回数をもとに評価します。)
全体の3分の2以上の出席・レポートの提出・テストの受検をすべてクリアして単位認定となります。出席回数が全体の3分の2に満たない場合は、レポート提出・テスト受検の資格を得られず、単位不認定となります。

参考文献

石井進『中世武士団』(講談社学術文庫)、講談社2011年、ISBN=9784062920698
本書は、小学館より「日本の歴史」第12巻『中世武士団』(1974年)・「文庫判 日本史の社会集団」第3巻『中世武士団』(1990年)、山川出版社より「石井進の世界」第2巻『中世武士団』(2005年)としても刊行されています。1970年代までの中世武士団研究の到達点を示す書籍です。