日本文学講義ⅠB
江戸文学に親しむ―
033-A-002

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
藤澤 茜 講師 4 1 通年 5

授業概要

江戸時代には庶民文化が花開き、特に印刷技術の発展による版本の流通は文学の享受者層を広げ、作品の内容を多様化させました。江戸時代にすでに古典であった『源氏物語』や『伊勢物語』『平家物語』に趣向を加えて別の作品がつくりだされることも多く、また中国の小説に影響を受けた作品も多く誕生しました。この授業では、それらの江戸文学の特性をふまえ、小説の構成、典拠、引用の方法などに注目して主に三作品を取り上げます。
第一に井原西鶴の浮世草子『好色一代男』(1682年刊)の場合、『伊勢物語』や『源氏物語』からの影響が特に顕著な部を取り上げて読み進めます。中国小説の翻案である上田秋成の『雨月物語』(1776年刊)は、日本の古典など膨大な数の作品に典拠を求めていることでも知られ、江戸怪異小説の傑作としても名高い作品です。内容の面白さを楽しみながら、重層的な文章に親しみ、江戸の人々と同じ感覚で読むことができればと考えています。最後に『源氏物語』を江戸時代らしくアレンジした合巻『偐紫田舎源氏』を取り上げ、挿絵と文章が一体化した、現代のマンガに近い草双紙の面白さも味わってもらいたいと思います。
なお、古典文学の研究に欠かせない文献の紹介や資料の調べ方、レポートの書き方などのレクチャーも随時行ないます。

到達目標

江戸文学においてどのように古典文学を取り込んでいるのかを理解し、江戸時代の重層的な文化のあり方について説明できるようになること。

授業計画

1 授業内容の説明
2 江戸時代の印刷文化の発展
3 江戸文学概論―江戸文学の種類・特色
4 『仁勢物語』-『伊勢物語』のパロディ①
5 『仁勢物語』-『伊勢物語』のパロディ②
6 井原西鶴の浮世草子について
7 『好色一代男』を読む①
8 『好色一代男』を読む②
9 『好色一代男』を読む③
10 『好色一代男』を読む④
11 『雨月物語』を読む①
12 『雨月物語』を読む②
13 『雨月物語』を読む③
14 『雨月物語』を読む④・レポートの書き方
15 到達度確認
16 『雨月物語』を読む⑤
17 『雨月物語』を読む⑥
18 『雨月物語』を読む⑦
19 草双紙について
20 『金々先生栄花夢』を読む①
21 『金々先生栄花夢』を読む②
22 『金々先生栄花夢』を読む③
23 『金々先生栄花夢』を読む④
24 『偐紫田舎源氏』を読む①
25 『偐紫田舎源氏』を読む②
26 『偐紫田舎源氏』を読む③
27 『偐紫田舎源氏』を読む④
28 江戸時代の小説と挿絵①
29 江戸時代の小説と挿絵②
30 まとめ

授業方法

講義形式。授業時に内容に関するコメント提出をおこなう場合もあります。

準備学習

授業時に配布したプリントの必要部分を読んでおくこと。

成績評価の方法

レポート:70%
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):30%
レポートは、小レポートと学期末レポートの2つを提出。

教科書

特になし。プリントを配布します。

参考文献

授業時に随時紹介します。

履修上の注意

履修者数制限あり。
第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

他学科生の履修不可。