※日本文学特殊研究 
作品分析の実践的練習をめざして―
033-A-107

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
山本 芳明 教授 4 4 通年 5

授業概要

 多様な方法を取り入れることで発展してきた近代文学研究ですが、研究の中核にあるのは作品分析です。しかし、近年では、作品分析のトレーニングが軽視される傾向にあります。そこで、本授業では、岡本かの子の小説を題材にして、そのトレーニングをするつもりです。かの子の作品はさまざまな要素が織り込まれた、大変興味深いものです。分析者の問題意識によって、その相貌を大きく変えていくところに特徴があります。ただし、かの子のこれまでの研究は、作家論の枠組みに拘束されたものが多いので、第1学期は、受講者の視野を広げるために、最初に他領域の研究にふれ、次に、最近刊行された博士論文を講読します。受講者の実践的なトレーニングは第2学期から、開始する予定です。

到達目標

1研究者として必要な基礎知識が充実します。
2公正な研究活動をするための基本的なルールが学べます。
3作品分析を出発点とした論文を構築するためのトレーニングができます。
4研究論文を執筆するためのノウハウが学習できます。

授業計画

1 ガイダンス
2 日本近代文学とブロンテ姉妹
3 『ジェーン・エア』(上)を読む(1)第1~12章
4  同上        (2)第13~20章
5  同上  (下)を読む(1)第21~28章
6  同上        (2)第29~38章
7 『ブロンテ姉妹』の読解(1)第1、2章
8  同上          (2)第3、4章
9  同上          (3)第5、6章
10  同上          (4)第7、8章
11 『岡本かの子作品研究』を読む(1)第1部
12  同上        (2)第2部
13 修士論文執筆予定者に論文の構想を聞く
14 まとめ
15 到達度確認
16 第2学期のガイダンス
17 履修者による発表(1)
18 前回の発表に対する質疑・応答
19 履修者による発表(2)
20 前回の発表に対する質疑・応答
21 履修者による発表(3)
22 前回の発表に対する質疑・応答
23 履修者による発表(4)
24 前回の発表に対する質疑・応答
25 履修者による発表(5)
26 前回の発表に対する質疑・応答
27 履修者による発表(6)
28 前回の発表に対する質疑・応答
29 まとめ
30 到達度確認
授業の計画は流動的で、履修者の希望を考慮して、計画を変更することもあります。第2学期は受講者が岡本かの子の作品の分析を発表します。

授業方法

第1学期は講読形式で行いますが、履修者に必ず意見を求めます。
第2学期は演習形式で行う予定です。

準備学習

1教科書・作品を予習することが重要です(1~2時間)。
2発表者自身にとって有益な発表をするためには、入念な準備をする必要があります(3~4時間)。
3ただし、受講者の習熟度によって、必要な時間は異なるので、余裕をもって準備してください。

成績評価の方法

レポート:50%(学年末に課した作品論のレポートを評価します。)
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):50%(出席や授業中の発言、発表を評価します。)
作品の的確な把握、独創的な解釈、質疑応答の際の論理的な対応などが平常点のポイントになります。レポートについては、論理性・実証力が評価の基本となります。レポートはコメントをつけて返却します。三分の一以上、欠席した場合、単位の修得はできません。なお、学部の授業の基準で評価します。

教科書

C・ブロンテ『ジェーン・エア 上・下』(光文社古典新訳文庫
パトリシャ・インガム『ブロンテ姉妹』、彩流社
溝田玲子『岡本かの子作品研究』、専修大学出版局

参考文献

ブロンテ姉妹『ブロンテ姉妹』(集英社文庫 ポケットマスタピース12)、集英社
この他の参考文献は授業中に適宜指示します。

履修上の注意

履修者数制限あり。
第1回目の授業に必ず出席のこと。