フランス語圏文化入門(言語・翻訳)
036-A-201

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
中尾 和美 講師 4 1~4 通年 5

授業概要

フランス語は系統的にも文法構造上も日本語とは全く異なった言語である。にもかかわらず、ともに「頭(tête)」という語は、「人間の頭、くぎの頭、冒頭」を指すことができる。他方、フランス語には、複合過去、半過去、大過去、単純過去など、日本語には存在しない多くの過去を示す形態がある。この授業では、フランス語を日本語と比較対照させることで、ことばについて考え、言語学の第一歩となるような視点を養うことを目的とする。具体的には、新聞、小説などから実際に収集した例文を観察し、日本語と対照させることで、フランス語の語彙の使い方、またフランス語の人称、時制、法、態などの文法形式がどのように言語外現実を表現しているかを考察する。さらに、フランス語の歴史や21世紀におけるフランス語圏の現状についても考える。

到達目標

フランス語がなぜイタリア語やスペイン語と似ているのか理解できるようになる。
フランス語の文法(複合過去と半過去の違い、部分冠詞とは?)について、より具体的に理解できるようになる。

授業計画

1 導入
2 フランス語圏の国々の現状(1) ヨーロッパ、カナダ、ルイジアナ
3 フランス語圏の国々の現状(2) アフリカ、南太平洋、カリブ海
4 フランス語の歴史、変遷(1)ストラスブールの誓約
5 フランス語の歴史、変遷(2)中世
6 フランス語の歴史、変遷(3)近代
7 フランス語の歴史、変遷(4)現代
8 フランスにおける様々な地域語
9 日仏対照考察(1)レトリック
10 日仏対照考察(2)隠喩
11 日仏対照考察(3)換喩
12 日仏対照考察(4)意味の拡張・変化
13 翻訳の可能性(1)固有名詞
14 第1学期のまとめ
15 予備日
16 翻訳の可能性(2)役割語
17 翻訳の可能性(3)笑い話
18 仏語学的考察(1)名詞の性
19 仏語学的考察(2)部分冠詞・不定冠詞
20 仏語学的考察(3)定冠詞
21 仏語学的考察(4)複合過去と半過去(1)
22 仏語学的考察(5)複合過去と半過去(2)
23 仏語学的考察(6)単純未来と近接未来
24 仏語学的考察(7)受動態・代名動詞
25 誤用(1)
26 誤用(2)
27 フランス語における新語(1)
28 フランス語における新語(2)
29 言語の位相 日仏比較
30 授業の総括

授業方法

具体的な例を見ながら、ことばについて共に考える。積極的に授業に参画することが望まれる。毎回授業の最後に授業の復習を兼ねたクイズ形式の小テストを行う。その際、質問・コメントなどあれば、カードに記入してもらい、学生諸君との意思疎通を図るようにする。

準備学習

フランス語の初級文法の教科書を復習しておくことが好ましい。

成績評価の方法

第1学期(学期末試験):20%
第2学期(学年末試験):40%
小テスト:20%
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):20%
原則として、学期末試験、学年末試験を行う予定だが、場合によっては、学年末試験一回とすることもある。また、毎回授業後に行う授業の復習を兼ねたコメントの提出、及び授業への参加、出席などの平常点も成績評価の対象とする。

教科書

必要に応じてプリントにて配布

参考文献

朝倉季雄『新フランス文法事典』、白水社2002
大橋保夫『フランス語とはどういう言語か』、駿河台出版1993
朝倉季雄『フランス文法集成』、白水社2005
鷲見洋一『翻訳仏文法(上)(下)』、ちくま学芸文庫2003
泉邦寿『フランス語の小径』、白水社2004

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

フランス語圏文化学科の2年生、またはフランス語既習の1年生のみとする。他学科の学生は履修できない。フランス語未習の学生は履修を認めない。但し、1、2年生以外でも「ゼミナール」を履修する資格のない学生は履修を認める。