光学 物3年
041-A-331

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
平野 琢也 教授 2 3 第1学期 3

授業概要

光学は古い伝統を持つ学問でありながら、いつの時代でも新鮮な話題を私たちに提供し、新しい自然観の確立にも大きな影響を与えてきた物理学の大切な一分野である。物理学科のカリキュラムの中では、電磁気学の応用と位置づけることができる。その理由は、多くの光学現象は、マクスウェル方程式を基礎として最も良く理解できるからである。しかし、興味深いことに、回折のような現象は、波動方程式に従うことだけを出発点として定量的に記述することができ、このことから音波と光で同様な現象が見られるという普遍性を自然に理解することができる。また、光線の振る舞いは、最小”作用”の原理だけを出発点として理解することができる。後者の幾何光学は、ニュートンの時代からある光学の最も古い部分であるが、現在でもカメラや半導体製造装置の設計には欠かすことのできない先端知識でもある。

到達目標

以上のような光学の特徴をふまえ、光学の授業では、皆さんの物理の知識に一本糸を通し、さらに身の回りの現象や先端技術と物理の知識との橋渡しをすることを目指したい。具体的には、(1)マクスウェル方程式に基づいて電磁波の偏光と界面における反射を理解すること、(2)ホイヘンス原理が波動方程式から導けることを理解し、電磁波の伝播と回折現象を定量的に記述できるようになることを到達目標とする。

授業計画

1 1章 光学とは(1)位置づけ(2)光学の分類
2 2章 波動光学(1)Maxwell方程式(2)波動方程式
3 (3)平面波(4)電磁場のエネルギー
4 (5)偏光(6)電磁場の複素表示(7)偏光子
5 (8)反射と屈折
6 (9)フレネルの式
7 (10)全反射(11)多層膜、反射防止膜
8 3章 回折(1)Huygens-Fresnelの原理
9 (2)Fresnelの理論、Fresnel輪帯
10 (3)Kirchhoffの回折理論
11 (4)Fraunhofer回折とFresnel回折
12 4章 光と物質の相互作用 (1)古典的調和振動子(2)電磁場の複素表示
13 (3)アインシュタインのA係数とB係数
14 (4)反転分布(5)レーザー(6)非線型光学
15 まとめ

授業方法

講義形式でおこなう。

準備学習

授業後に復習し、授業中に説明した概念や式変形を再確認すること(2時間)。レポート課題は授業を受けた日に取り組むことが望ましい。分からないことがあれば、参考書の該当する部分を読むこと。疑問が解消されないときは質問すること。

成績評価の方法

第1学期(学期末試験):80%
レポート:20%

参考文献

Eugene Hecht, Optics, 4th Edition, Addison-Wesley, 2001
山口 一郎『応用光学』、オーム社1998
村田和美『光学』、サイエンス社1979
HechtのOpticsは丸善から日本語訳が出版されています。