熱学および統計力学1 物2年
041-A-241

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
高橋 利宏 教授 2 2 第2学期 1

授業概要

熱のやりとりを含むマクロな世界の物理化学現象を普遍的に記述するのが「熱力学」である。その基礎を「仕事」の概念に基づいて論理的に展開する。その中で、熱力学第2法則(不可逆性)、熱力学第1法則(エネルギー保存則)を概説する。等温環境での最大仕事で「Helmholtzの自由エネルギー」を定義し、断熱環境での断熱仕事で「(内部)エネルギー」を定義し、これらの熱力学関数を比較することによって、「エントロピ−」の概念と、その物理的な意味を理解するのが、この講義の最大の目標である。この講義を通じて、「熱力学」の枠組みを、論理的、かつ、直感的に理解することをめざしている。

到達目標

「熱力学」の枠組みを、論理的、かつ、直感的に理解することをめざす。特に、「エントロピ−」の概念とその物理的な意味を理解することを最大の目標とする。

授業計画

1 はじめに <熱力学とはなにか>
2 平衡状態と熱力学
3 等温操作とHelmholtzの自由エネルギー(1)仕事とHelmholtzの自由エネルギーの定義
4 等温操作とHelmholtzの自由エネルギー(2)Helmholtzの自由エネルギーの性質
5 断熱操作と内部エネルギーの定義
6 断熱操作とエネルギー保存則
7 熱とカルノーの定理(1)等温準静操作と最大吸熱量
8 熱とカルノーの定理(2)最大吸熱量に関する普遍的な関係式(カルノーの定理)
9 エントロピーとその意義(1)エントロピーの定義と断熱準静操作
10 エントロピーとその意義(2)エントロピーの性質
11 Helmholtzの自由エネルギーとその応用
12 Gibbsの自由エネルギーとその応用
13 熱力学関数の相互関係
14 おわりに <全体のまとめ> 
15 理解度の確認
授業を聞いた後、教科書を読むとさらに理解が進みます。

授業方法

板書を中心とした講義形式。必要に応じてプロジェクターを使用するが、画像についてはコピーを配付する。原則として毎回レポート課題を出し、添削して返却する。

準備学習

予習は必ずしも求めないが、講義のあとで教科書の該当部分をよく読んで復習しておくこと(約30分)。熱力学の論理構成から、復習が次の講義の予習につながる。

成績評価の方法

第2学期(学年末試験):54%(学期後半の講義内容、および全体の理解度確認)
中間テスト:36%(学期前半の講義内容の理解度確認)
レポート:10%(毎回の講義内容の確認と発展的な課題。添削して返却する。)
適当な時期に中間試験を行う。中間、期末の試験結果にレポートの提出状況を加味して評価する。

教科書

田崎晴明 著『熱力学=現代的な視点から』(新物理学シリーズ32)初版、培風館2000年、ISBN=4-563-02432-5
最初の授業時に、教科書と参考書についてのコメントをするので、出席のこと。

参考文献

佐々真一 著『熱力学入門』初版、共立出版2000年、ISBN=4-320-03347-7
久保亮五 編『熱学・統計力学(修訂版)』(大学演習)修訂版、裳華房1998年、ISBN=4-7853-8032-2
最初の授業時にコメントをします。

その他

諸連絡のためにG-portを使用することがある。