生物物理学1
041-B-681

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
西坂 崇之 教授 2 3~4 第1学期 1

授業概要

生物は蛋白質や核酸などの集合体であり、これら構成要素は独自の構造と機能を持っている精巧な「分子機械」である。授業では、こういった分子機械の仕組みについて、映像を用いながらわかりやすく解説する。わずか10ナノメートル(1億分の1メートル)程度の大きさしか持たない蛋白質分子は、我々の直感とは大きくかけ離れた物理法則が支配する環境に取り囲まれている。講義を通じて、この点を実感してもらいたい。授業担当者は、自身の研究室において、光学顕微鏡をはじめとするさまざまな実験的手法を用いながら、実際に生物物理の研究を行っている。

到達目標

水中におけるナノメートルスケールの分子の振る舞いが、そこで起こる物理現象の説明を通じて感覚的に説明できるようになる。

授業計画

1 生物物理学序論
生物物理学とは何か/アプローチと思想/研究対象
2 タンパク質(1)
大きさと構造
3 タンパク質(2)
分子間力を理解する/アンフィンゼンのドグマ
4 細胞骨格力学特性/重合・脱重合の性質
5 細胞運動(1)
さまざまな例/メカニズムの理解
6 細胞運動(2)
未知の運動、マイコプラズマの探求
7 顕微鏡入門
光学顕微鏡の種類/実用的な数式と開発の考え方
8 タンパク質の環境(1)
粘性と慣性/環境を記述するために必要な概念
9 タンパク質の環境(2)
ボルツマン分布/ブラウン運動とアインシュタインの式
10 リニアモーター(1)
多様性/共通する性質/化学反応とメカニズム
11 リニアモーター(2)
力学特性/運動を数式で記述する
12 回転分子モーター機能/メカニズム/研究手法
13 最先端のトピック(1)
いま生物物理学で何が面白いか?
14 最先端のトピック(2)
力学反応と化学反応を画像化する
15 予備日

授業方法

スライドと板書を用いた講義形式

準備学習

雑誌「生物物理」や「日経サイエンス」の記事を読み、生命科学の最新のトピックスに触れることに日常的に慣れ親しむこと(週に2時間以上)。

成績評価の方法

第1学期(学期末試験):65%
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):35%

教科書

指定なし。

参考文献

【蛋白質の構造がダウンロードできるサイト】http://www.pdbj.org/index_j.html
【RasMolがダウンロードできるサイト】http://openrasmol.org/
【雑誌「生物物理学」のホームページ】http://www.jstage.jst.go.jp/browse/biophys/-char/ja
【専門知識を必要としない解説書】日本生物物理学会 『生体分子モーターの仕組み』 共立出版日本生物物理学会 『生物物理の最前線』 講談社日本生物物理学会 『新・生物物理の最前線』 講談社
【生物物理の研究に役立つ専門知識を広く網羅したテキスト】J. ハワード著 “Mechanics of Motor Proteins and the Cytoskeleton" Sinauer Associates IncD. アイゼンバーグら著 『生命科学のための物理化学 下巻(下の部分的な翻訳本)』 培風館D. アイゼンバーグら著 “Physical Chemistry" Benjamin Cummings
【細胞生物学・生化学のテキスト】B. アルバーツら著 “Molecular Biology of THE CELL" GarlandB. アルバーツら著 『細胞の分子生物学(上の翻訳本)』 教育社