物理計測学

041-B-501

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
榎原 研正 講師(大苗 敦 講師) 2 1~3 第1学期 2

授業概要

物理計測は、いろいろな自然現象から普遍性のある物理学的・工学的知見を得るための手段である。信頼性の高い物理計測は学術や産業の発展にとって必須のものである。測定されたデータは、世界の共通尺度である計量標準によってその信頼性が保証される。本講義では、長さや質量などの計量標準の定義、その物理的な背景、また定義を実現するための方法や技術、共通のルールとしての単位系普及のための国際的な仕組みなどについて、例を挙げながら概説する。

授業の目的・内容

標準や単位、基礎物理定数のお話をするとき、その基礎的な部分には、ほぼすべての物理の分野が必要になります。この授業では、計量標準や計測技術をとおしての物理学概論といった気分で講義をしていきますので、学生さんそれぞれが、いろいろな知識や興味を持ってもらえたら、と思っております。

授業計画

1 計測の基礎概念(1):計測結果の報告のしかた(誤差評価)
2 計測の基礎概念(2):複数の計測から最終結果が出る場合(誤差の伝搬)
3 国際単位系(SI):MKSA単位系は覚えていますか?
4 長さ標準(1):光の波長と長さ標準
5 長さ標準(2):回折格子とマイケルソン干渉計
6 長さ標準(3):メートルの定義と波長安定化レーザー
7 時間・周波数標準(1):自分は今どこにいるのか?GPSの先祖のお話
8 時間・周波数標準(2):世紀のイノベーション:光周波数コムって何?
9 質量標準:いまでもブツ(原器)の標準、キログラムの再定義に向けて
10 温度標準:暑い、寒い、はじめは目盛りだった
11 電気標準:電気計測は精密計測のかなめ
12 基礎物理定数:神さま(自然界)の単位と人間の単位の換算係数
13 測定の不確かさ:誤差と言わずに「不確かさ」と呼ぼう
14 まとめ:レポート課題について、計測と科学的リテラシー
15 自主研究

授業方法

講義で実施。教材の提供は学習院コンピュータシステム(Sドライブ)を活用する。

準備学習

毎回の教材(授業のパワーポイントの一部)は授業後にSドライブに出しますので復習してください。わからないことがあれば、授業中にどんどん質問してください。30分程度。

成績評価の方法

レポート:70%(学期末に、まとめのレポートを出題する)
小テスト:10%(小テストを数回実施し、理解度のチェックをする)
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):20%(出席状況も加味する)
数回実施する予定の小テストについては、授業内で解説などを行うつもりである。

安田正美『「1秒って誰が決めるの? 日時計から光格子時計まで」』(ちくまプリマー新書)、筑摩書房
紹介したこの本は研究所の仲間が書いた時間の単位の1秒についての本です。歴史的な面白い話や、冷却原子を使った最先端の光時計の話など、とても分かりやすくて読みやすい1冊です。このほかにも、授業中で教科書や読み物を随時紹介します。興味のあるものがあれば是非読んでみてください。

期末のレポートに関することなど、履修者への連絡は理学部掲示版に掲示する。