バイオインフォマティックス
044-B-501

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
宮崎 智 講師 2 2 第1学期 1

授業概要

実験生物の全ゲノム配列が次々と決定されるとともに、DNAチップやマイクロアレイなどの生化学的実験手法の革新もあり、生命科学は多量のデータに埋もれつつある。大量のデータからより多くの新規な知見を得る手段として、情報科学や統計学を駆使した理論およびデータベースやコンピュータシミュレーションのソフトウェアが開発され、その精度も飛躍的に改良されている。本講義では、コンピュータ科学を用いて生命現象を解明するための手法について、その理論とともに演習を交えながら、基本的なトピックスをオムニバス形式で紹介する。生命情報科学の初心者がより高度なシミュレーションに興味を持ち、自学のための基礎力の養成を目指す。

到達目標

コンピュータを用いた解析に有用なインターネット上のデータベースとその使い方を理解すること。また、コンピュータ内実験に用いられる代表的なアプリケーションソフトウェアの使い方に慣れることを目標とする。

授業計画

1 生命情報科学とは?-ゲノム解析の実際について-バイオインフォマティクスの概要について理解する。
2 キーワード検索の手法インターネット上の公共データベースから質の高い分子生物学的データを抽出するやり方について理解する。
3 相同性検索のアルゴリズム遺伝子配列やアミノ酸配列を問い合わせキーワードにして、国際塩基配列データベースなどを調べる仕組みについて理解する。
4 相同性検索の応用-ゲノム配列解析の基礎について-DNA配列中に遺伝子が存在するかどうか、アミノ酸配列を手に入れた場合に、そのタンパク質の遺伝子を特定するやり方について相同性検索を利用する場合について理解を深める。
5 ペアワイズアライメントについて2つのアミノ酸配列の長さをそろえて、違いが明確になるようにするアルゴリズムについて理解し、どのような解析が可能となるかを理解する。
6 マルチプルアライメントについて3つ以上の配列を一度に整列化することによって、生物種を超えて共通に保存されている領域を明確にしたり、活性化部位を発見するやり方について理解する。
7 進化系統樹の作成とその応用遺伝子配列から、分子進化解析を行う方法の基礎的な理論とツールを理解する。
8 アミノ酸配列のモチーフ検索タンパク質の配列データベースから派生して構築されたモチーフデータベースを理解し、モチーフという概念を用いて、未知のタンパク質配列中の機能部位を予測する方法について理解する。
9 タンパク質立体構造の取得と閲Protein Data Bankの書式や利用法について理解する。
10 アミノ酸配列からの2次構造予測タンパク質の2次構造予測をする方法について理解する。
11 タンパク質立体構造予測その1 構造認識について構造未知のタンパク質のフォールドレベルの立体構造を予測する方法について理解する。
12 タンパク質立体構造予測その2 ホモロジーモデリングについてタンパク質の側鎖の向きを含めた、より詳細な立体構造を予測方法について理解する。
13 タンパク質コーディング領域以外の配列情報の活用遺伝子の発現制御に関わる配列情報の基礎について理解する。
14 総括
15 到達度確認

授業方法

講義および演習。前半の2/3で各トピックスの背景や理論を説明(講義)し、後半1/3でデモあるいは演習を行う。

準備学習

各授業後に指示するインターネット上のサイトにアクセスし授業内容を復習してみること(約30分)。

成績評価の方法

第1学期(学期末試験):80%
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):20%

教科書

特に、教科書を指定しません。講義で、パワーポイントや資料を配布します。

参考文献

菅原秀明『あなたにも役立つバイオインフォマティクス』初版3版、共立出版2005
菅原秀明『バイオンフォマティクスがわかる』第1版、羊土社2003
郷通子、高橋健一『基礎と実習 バイオインフォマティクス』第1版、共立出版2004
授業時に指示します。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。