生態・環境科学
044-B-502

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
寺島 一郎 講師 2 2 第1学期 5

授業概要

生態学は、生物と環境との相互作用を研究する学問、あるいは、生物集団の経済学や社会学を研究する学問、などと定義され、その範囲はきわめて広汎である。この講義では、生態学の基礎を解説する。生態学の基礎を正しく理解すれば、生命科学の他の科目の理解も深まるはずである。

到達目標

生態学の基礎的概念を正しく理解し、自分の言葉で表現できるようになる。
生物のもつさまざまな性質について、究極の適応的意義を問うWhy疑問と、メカニズムを問うHow疑問との両面から考察し研究することができるようになる。

授業計画

1 生態学とは:生態学の歴史を通観し、生態学の定義について考察する。
2 生物の環境適応 I:自然選択による生物の環境適応メカニズムについて解説する。
3 生物の環境適応 II:育種と自然選択を比較する。自然選択による環境適応の実際と限界について解説する。
4 生物の環境適応 III:包括適応度と利己的遺伝子について解説する。また、適応戦略について概説する。
5 生物の環境適応 IV:生物のふるまいをゲーム理論を用いて理解する。
6 個体間の相互作用 I:個体群の成長をあつかうロジスティック理論を学び、競争方程式などに応用する。
7 個体間の相互作用 II:ゾウリムシや酵母の競争実験を行ったGauseの研究を解説する。
8 個体間の相互作用 III:感染(伝染病)や共生、などについて生態学的に考察する。
9 生活史の進化:生活史とは何か、環境によってどのような生活史が進化しうるかを考察する。
10 群集に関する諸問題:種の共存条件、多様性の維持について考察する。
11 生態系のエネルギーの流れ I:太陽光のエネルギーを植物た固定する光合成の仕組みを学ぶ。
12 生態系のエネルギーの流れ II:一次生産、動物などの従属栄養生物の生産について概説する。
13 生態系:地球上のさまざなな生態系の特徴を解説する。
14 地球環境問題:化石燃料の消費による大気CO2濃度の上昇と地球温暖化の関係を学び、その適応策を議論する。
15 総括
受講者の反応を確認しながら講義を進める。授業計画はあくまでも目安である。

授業方法

講義形式。講義中の質問を歓迎する。教科書は指定するが、講義は配布資料をもとに行う。教科書の該当箇所を読んで復習してほしい。

準備学習

講義は配布資料をもとにして行うので、予習は必要ではない。指定した教科書や参考書は、講義の復習に使ってほしい。

成績評価の方法

第1学期(学期末試験):70%(記述式)
小テスト:30%(毎時間最後の10分程度で講義の重要点をまとめる。質問なども記入してほしい。)
期末試験問題を、6月末に予告する。

教科書

日本生態学会編『生態学入門』第2版、共立共立出版2012年、ISBN=978-4-8079-0783-0
日本生態学会がつくった入門書です。完全にマスターするためにはかなりの勉強が必要です。

参考文献

寺島一郎『植物の生態』(新・生命科学シリーズ」新・生命科学シリーズ)第2版、裳華房2014年、ISBN=978-4-7853-5855
松本忠夫『動物の生態』(新・生命科学シリーズ」新・生命科学シリーズ)初版、裳華房2015年、ISBN=978-4-7853-5862-4
酒井聡樹・高田壮則・東樹宏和『生き物の進化ゲーム』大改訂版、共立出版2012年、ISBN=978-4-320-05724-1