免疫生物学
044-B-605

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
久保 允人 講師
後飯塚 僚 講師
反町 典子 講師
2 3 第1学期 2

授業概要

本講義は、感染症に対する生体防御反応やリウマチ・アレルギーなどの免疫性疾患の成立機序を分子レベルで理解するとともに、最新の創薬戦略を説明することを目的とします。

到達目標

本講義では、生体防御反応について、その機構を組織、細胞、分子レベルで理解するため、免疫系に関する基本的知識を習得します。私たちの身体には免疫という生体防御能が備わっていて、それが私たちの命を守るためにとても役立っています。数多くの感染症にさらされてきた人類は、一度かかった感染症には、再度かかりにくいと言う防御反応が記憶される「二度なし現象」を経験的に会得しており、これがワクチンという概念に繋がったわけです。この生体内で起こる免疫のメカニズムの詳細が理解されるようになったのは、ここ50年ばかりの間のことです。免疫は自己と非自己を識別することで、感染症など多様な外界からの異物の侵入に対して我々の身体を守る重要な生体システムです。このシステムは、抗体などの獲得免疫とともに自然免疫によって構成されています。最近では、これら知識を基盤にがんを始め様々な疾患を対象に、抗体を利用した分子標的創薬が飛躍的に進んでいます。そこで、感染症に対する生体防御反応やリウマチ・アレルギーなどの免疫疾患の成立機序を分子レベルで理解してもらうことを本講義の目的とします。

授業計画

1 免疫学の歴史 ノーベル賞受賞者を中心に免疫学の急速な
進歩を時代背景とともに紹介する
2 T細胞とその認識機構、多様性の構築
3 抗原提示と自己と非自己の識別マーカーMHC T細胞による
自己と非自己の識別(選択のメカニズム胸腺分化
4 T細胞の機能ヘルパーT細胞とCTL
5 抗体の構造と多様性発現機構:VDJ組換えを中心に抗体の
多様性機構を説明する
6 B細胞の初期分化:骨髄でのB細胞分化と抗体遺伝子の組
換え
7 B細胞の活性化と液性免疫機構:胚中心形成、メモリー•プラズマ細胞への分化、クラススイッチなど
8 抗体の受容体(Fc受容体)と疾患:Fc受容体の構造と抗体の関与する疾患(I, II, III型過敏症)
9 抗体の応用:モノクローナル抗体、フローサイトメトリーなど
10 自然免疫概論 I 病原体認識システムと排除機構、樹状細胞
機能
11 自然免疫概論 II 自然リンパ球の種類と機能: NK細胞、自然リンパ球など
12 粘膜免疫―腸内細菌による免疫恒常性維持と疾患
13 免疫細胞のダイナミクス―ホーミングと細胞間相互作用に支
えられる免疫応答
14 サイトカインと疾患 分子標的薬による創薬
15 理解度の確認

授業方法

各回配布した教材とともに、スライドを使いながら説明していく

準備学習

各回配布した教材とともに関連する教科書を通読し、教材の内容を十分に理解した上で講義の準備をして下さい。また、受講後は各回のテーマに関する理解を深め内容をよく復習して下さい

成績評価の方法

第1学期(学期末試験):50%(理解度の確認)
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):50%(出席の確認)

教科書

David Male 監訳 : 高津聖志/清野宏/三宅健介, 免疫学イラストレイテッド, 南江堂

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。