日本史 
091-E-201

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
中込 律子 講師 2 2~4 第2学期 3

授業概要

歴史の教員にとって教える技術が重要であることはいうまでもないが、それ以前に、教員自身に歴史を考え、理解する力が必要である。生徒に暗記を強いるのではなく、各時代の特徴を理解し、変化の流れを説明できるようになってほしい。そのために、古代から近代までを通観できるいくつかのテーマを設定して講義する。本年度は、“裁判”や“村”を採り上げ、社会・経済の変化や、人々と公権力のかかわりについて考える。主に近世までを扱うが、近代・現代にも触れる。講義は、なるべく歴史をリアルにとらえられるように事例を挙げて解説する。また、高校教科書の記述の特徴や問題点を指摘し、読み取りにくい叙述についても解説する。

到達目標

①歴史(日本史)の教員となるために必要な基礎知識を身につける。
②歴史の様々な要素を関連させ、多角的・総合的に考える力を養う。
③歴史を長い視野で考え、各時代の特質、変化の流れを理解する。
④教科書を盲信せずに自分の力で読みこなすカを身につける。

授業計画

1 はじめに ―講義の概観 
2 歴史の歪曲と歴史教育
3 裁判1 裁判の歴史によってわかること ―社会における紛争解決と裁判
4 裁判2 古代~近代の裁判の概観 ―誰が誰を裁くのか?何を裁くのか?
5 裁判3 鎌倉幕府の裁判機構と幕府法 ―なぜ鎌倉幕府の裁判機構が発達したのか?
6 裁判4 様々な法・裁判機関の併存 ―平安後期・鎌倉時代・室町時代
7 裁判5 農村の裁判・裁判権
8 裁判6 戦国大名の裁判と法
9 裁判7 江戸時代の裁判 ―幕藩体制と裁判機構
10 裁判8 江戸時代の法
11 村1 古代から中世へ
12 村2 中世から近世へ
13 村3 村の自治と村の武力
14 村4 村と税制
15 理解度の確認
状況に応じて、講義の順序や時間配分を組替える場合もありうる。

授業方法

配符プリントを用いた講義。随時、質問用紙を配布し、各自のもっている知識や認識の現状を確認してもらう。

準備学習

大学入試で日本史を選択しなかった学生は、少なくとも高校教科書等に目を通し、用語に慣れておく(30分~1時間)。また、次回講義する時代について、高校教科書・プリント・参考文献等で、疑問点を整理する(30分~ 1時間程度)。講義後、ノート・配布プリントで復習し、講義の理解内容・疑問点を整理する(30分以上)

成績評価の方法

第2学期(学年末試験):90%(講義で示した基礎知識、講義内容の理解度。特に時代による相違の理解)
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):10%(質問ペーパーの着眼(ペーパーでは、基礎知識の有無を成績に反映しない))
ノート・プリント持ち込み可の論述形式の試験。理解内容を自分の文章で解答することを重視する。明確な筋道の文章で、なおかつ具体的な論述であれば高得点が得られる。ただし、各自の理解をありのままに叙述すれば、相応の評価をするので恐れる必要はない。他人の文章(プリント・参考文献・ネット等)を書写することは厳禁とし、厳しく対処する。

教科書

特に指定しない。

参考文献

随時、授業時に指示する。

その他

例年、大学入試で日本史を選択しなかった等の理由で、基礎知識の曖昧な学生が多い。講義は、この状況を踏まえて、質問ペーパーなどで知識・理解の程度を確認しつつ進めるが、履修者も歴史教員を志望する者としての心構えと準備(高校教科書を一通り読む等)が必要である。