博物館実習 
―歴史系博物館の実務――
092-E-300

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
第1学期  柳沼 千枝 講師
第2学期  岩壁 義光 講師
3 4 通年 4

授業概要

歴史系博物館における学芸員活動の実務を習得する。歴史系博物館の学芸員として必要な実務的基礎知識、および基礎技術の習得を目指すとともに、学芸員が果たすべき社会的責務・役割などについて、ともに考えてゆく機会とする。

到達目標

博物館の展示について、主催者の視点で評価することができるようになる。
資料に対する心構えを習得し、資料の特性に応じた観察・取り扱いができるようになる。
展示の原理・展示会開催の基礎知識を理解できるようになる。

授業計画

1 オリエンテーション:授業の進め方、自己紹介など
2 ある学芸員の一日:博物館における学芸員の業務についての考察と、学芸員を目指す心構えについて
3 歴史系博物館の仕事:他の館種との比較を通じた、歴史系博物館の特質と事業の実際
4 歴史系博物館における展示:歴史系博物館における資料の特性と、それに基づく展示方法の実際、館園実習の心構え
5 見学実習①:横浜市歴史博物館の企画展示室とバックヤードの見学を通じて知る博物館の現場と、展示の評価レポート
6 資料の取り扱い①(巻子):資料取り扱いの基本についての身支度・心構えや、巻子本各部の名称、取り扱いの方法・手順の習得
7 資料の取り扱い②(巻子):巻子本の取り扱いについて、各部の名称、取り扱いの方法・手順の習熟と、資料の観察
8 資料の取り扱い③(掛軸):掛軸各部の名称、取り扱いの基礎的方法・手順の習得
9 資料の取り扱い④(掛軸):掛軸各部の名称、取り扱いの応用的方法・手順の習得
10 見学実習②:企業博物館の特性と、博物館におけるライブラリーの機能について理解を深める
11 調書の作成①:調書を取る際の調査項目や実測・記述の仕方と資料の観察方法
12 調書の作成②:資料の観察方法と資料調書の作成
13 博物館資料の収集・貸借:博物館資料の収集手続きと資料台帳の作成、貸借手続きと借用資料調書の作成
14 第1学期授業のまとめ
15 第1学期授業の振り返り
16 オリエンテーション:自己紹介、授業の進め方など
17 模擬展示会を目指して:通常展示と特別展示の相違、展示会開催までの概要
18 資料の写真撮影の原理
19 資料の梱包実習
20 展示資料の調査とその方法
21 展示資料の調査報告と批評
22 展示資料の選定
23 図録の作成の意味と作成の過程
24 特別展示会見学実習
25 模擬展示の実施計画:模擬展の全体像の立案
26 展示の準備①:パネルの種類とその役割の理解
27 展示の準備②:解説キャプションの準備と作成
28 展示の準備③:展示用補助具の作成
29 第2学期授業のまとめ
30 第2学期授業の振り返り
実習という性格上、積極的な受講の姿勢が必要である。

授業方法

第1学期は柳沼千枝講師が担当し、講義形式で学芸員諸活動の概要と歴史系博物館の置かれている現状について考察するとともに、グループに分かれて資料の取り扱い方法や収集・整理、展示方法の基本を学ぶ。第2学期は岩壁義光講師が担当し、資料調査のほか資料撮影・梱包など資料取り扱いの応用を学ぶとともに、模擬展示会を計画・開催することで、歴史系博物館における展示会開催の立案から実施までのカテゴリーと実務について学ぶ。

準備学習

第1学期:授業時のノートや配布プリントを、自宅で復習しておくこと(計約10時間)。館園実習や見学実習に際しては、事前に年報等実習先館園の情報を入手し、設置目的・活動理念・事業実績について理解しておくこと(5~6時間×3館園)。見学実習①においては、当日のノートをもとに学芸員の視点をもって自宅でレポートを作成すること(7~8時間)。
第2学期の模擬展示は、展示に向けて分担した資料調査・展示準備・展示作業に関連した事前準備(計約30時間程度)が必要となる。担当部分の作業を怠ると模擬展示の進行に影響が出るので、模擬展示会議に従って事前準備を確実にすること。

成績評価の方法

レポート:10%(見学実習にともなうレポートを課し、着眼点・表現力等を評価する。)
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):80%(第1学期は作業への参加姿勢や取り組みを評価する。第2学期は実習の取り組み姿勢、模擬展示の成果度を総合評価する。)
館園内実習等:10%(館園実習への取り組みの積極性、作業の成果等を評価する。)
規定日数以上の出席を必須とする。第1学期では作業実習に取り組む姿勢-積極性や習熟への努力、グループワークにおける協力度を評価する。作業実習や見学実習に積極的に取り組み、学芸員の視点を磨くことを目指してもらいたい。第2学期では展示会開催における各自の果たすべき責任、協力姿勢、展示成果を評価する。展示準備各段階で何を優先的にすべきかを自覚し受講すること。自宅に於ける作業が必須である。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

第1学期・第2学期の初回の授業に必ず出席のこと。履修に際しては、通年授業の他に、学芸員課程事務室主催のガイダンスへの出席及び館園実習への参加が義務となっているので、留意すること。