博物館資料保存論 
092-E-203

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
荒木 臣紀 講師 2 2~3 第2学期 1

授業概要

博物館活動の両輪である展示(文化財の活用)と保存収集について、博物館での講義や学習院大学史料館などの博物館での事例を元に基礎的な知識と考え方を習得する。各テーマの講義後に学習院大学史料館の事例を参考にしてテーマ単位での保存活動計画をグループ単位で立案し、プレゼンテーションを行い、他のグループと議論を行う。講義内で意見を出し合い、とりまとめることで受講者全員の理想的な保存計画を構築する。

到達目標

博物館学芸員として必須な知識である資料保存について基礎的なレベルを理解する。意見の違うグループと議論を行う事で、調査能力やコミュニケーション能力を養い、博物館に勤務した際にも慌てず資料保存業務の第一歩を踏み出せる礎を築くことを目標とする。

授業計画

1 オリエンテーション:講義の進め方、評価の方法。
2 学習院大学史料館の見学およびレポートの作成。
3 保存:温湿度管理の基礎である、収蔵庫、展示室、展示ケース、作業区域など様々な空間の温湿度データの取得、解析方法について。
4 保存:温湿度管理について、実際に仕事に就いたと想定して計画を立案する。
5 保存:総合的害虫管理(IPM)を中心とした生物被害防止策の基礎について。
6 保存:生物対策を実際に仕事に就いたと想定して計画を立案する。
7 保存:光、汚染物質について。
8 保存:光、汚染物質対策を実際に仕事に就いたと想定して計画を立案する。
9 保存:これまで調査した予防保存活動の項目を統合して、年間活動計画を整える。
10 演習:東京国立博物館の見学とレポート
11 調査:保存や修理業務を進める上で遭遇する各種調査方法の解説。エックス線による構造調査など。修理を行う前に必要な調査方法の意義および解説。赤外線、紫外線による調査など。
12 保存:調査について。調査票の作成方法について。
13 調査票の作成。デジタルアーカイブについて。
14 修理:文化財保存における修理の最先端の概念について考える。装こうの修理を中心に基本的な修理用語と技術の解説。
15 演習:まとめ
自分で情報を収集し、博物館学芸員に採用された際に自らの企画や意見をプレゼンテーション、レポート等で表現ししながら知識を体系化していくことを目標としている。

授業方法

各項目について講義と班によるプレゼンテーションを行い、意見交換を繰り返す講義形式を行う。

準備学習

多くの美術館、博物館を講義前までに足を運んで展示などを見る。

成績評価の方法

レポート:10%(着眼点、意見など。)
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):55%(班による立案プレゼンテーションへの関わり方、内容、他班への提案など。)
提出物:15%(調査票の完成度)
講義中における議論:20%(述べる意見の内容)
文化財保存に関する考え方の達成度と保存計画の内容、講義内容への取り組み方を中心に評価を行う。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

G-port等による連絡。