※経営統計特殊研究Ⅰ(学部:経営統計Ⅰ)
122-F-145

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
川上 淳之 講師 2 M 第1学期 1

授業概要

近年、経営学など様々な研究領域でデータを用いた実証分析を通じて研究者にとっては自らの仮説を検証している。ビジネス分野においても、データを利用した顧客の動向を探ることに関心が集まっている。その点において、データを用いた分析に関するスキルはビジネススキルの1つとして需要が高まっているといえる。
本講義は、アンケート調査や政府統計を用いた実証分析の方法を学ぶことで、実証分析に対するリテラシーを身につけることを目標とする。そのために、参加学生は、自ら持つ関心を分析対象とし、仮説を立て、データを集め、講義内で学ぶ分析手法に基づいて実証分析を行い、レポートを執筆し発表・議論を行う。

到達目標

経営統計特殊研究Ⅰ(学部:経営統計Ⅰ) における目標は以下の3つである。
 
1. 最小二乗法を用いた因果関係の推定方法と、その課題を学ぶ
2. データが質的変数(その内容が数値の大小で表せない変数)の場合の分析方法を学ぶ
3. EXCEL, SPSS, gretlなどのソフトウェアの利用方法を身につける

授業計画

1 イントロダクション
講義内容の紹介を通じて、実証分析の流れについて理解します。
2 実証分析の基礎
理論モデルと実証結果との関係を学ぶことで、分析の流れを把握します。また、使用することになるデータの基礎や分析結果の読み方を学びます。
3 回帰分析の基礎
説明変数を複数用いる理由と、質的変数を用いた分析方法について学びます。
4 データを用いた実習(1)
地域データを用いて、EXCELを用いた回帰分析に慣れます。
5 最小二乗法の仕組み(1) 最小二乗法の基礎
回帰分析の中でも最もシンプルな推定方法の最小二乗法について、その考え方と分析を行うための条件について学びます。
6 データを用いた実習(2)
人事データを用いて年収の決定要因を探ります。ここでは推定結果について注目します。
7 最小二乗法の仕組み(2) 最小二乗法の仮定が成立しないケース
最小二乗法の仮定が成立しないケースについて、誤差項に注目して学びます。
8 加重最小二乗法と一般化最小二乗法
誤差項の不均一分散の解決方法について学びます。
9 データを用いた実習(3)
レポートのテーマを発表し、中間報告を行います。また、ここではレポートの書き方についてお話します。
10 プロビットモデルと最尤法
2つの選択肢に関する質的変数を説明するときの分析手法であるプロビットモデルについて学びます。
11 順序ロジットモデルと多項ロジットモデル
3つ以上の選択肢に関する質的変数を説明するときの分析手法である順序ロジットモデル・多項ロジットモデルについて学びます。
12 データを用いた実習(4)
これまで学んだ分析方法をSPSSやgretlを利用して分析します。
13 データを用いた実習(5)
レポート執筆のために必要な、記述統計量・クロス集計・図表の作成できるように練習します。
14 前期の復習
前期で学習した内容を振り返ります。
15 分析結果のプレゼンテーション
分析を行った結果を報告します。その報告内容を評価します。

授業方法

パソコンが配備された教室において、講義と実習の複合形式で行う。講義ではテキストに沿った統計学の理論を講義し、計算問題を解く。実習では、用意されたデータをEXCELやSPSS、gretlを用いることで、講義で習った内容を実践して身につける。

準備学習

統計学で学ぶ内容(平均、分散、相関、推定、検定)は講義内で扱わない。これらを厳密に理解をしていなくてもフォローできるように講義を進める。ただし、統計学の基礎を既に学習していたり講義外で自習することで、講義内容はより関心が深いものになる。

成績評価の方法

平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):30%(講義への参加(出席、発言など))
最終講義のプレゼンテーション:70%(講義最終日に、課題に関するプレゼンテーションを行い、その内容で評価する。)

教科書

山本勲『実証分析のための計量経済学 ―正しい手法と結果の読み方―』、中央経済社2015年、ISBN=978-4502168116

参考文献

講義資料は教員のホームページに掲載する。また、使用するソフトウェアの解説本は講義内で紹介する。

履修上の注意

履修者数制限あり。
第1回目の授業に必ず出席のこと。

その他

ただし、大学院・経営学研究科進学に関する学内推薦基準を満たさない学部生は、本科目の履修が認められない場合があります。なお学内推薦基準とは、『経済学部専門教育科目(専門基礎科目および専門応用科目。但し演習は含みません。)の総平均点が75点以上である』ことをいいます。