※国際文化学特殊研究

130-F-008

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
西山 暁義 講師 2 D/M 第1学期 3

授業概要

ヨーロッパ近代におけるドイツとフランス:敵対と友好、関心と参照
 ドイツとフランスは、現在さまざまな矛盾が露呈するヨーロッパ統合のなかで「両輪」とみなされる二大国である。しかし歴史を振り返れば、この両国ほど激しく相争った国はない。18世紀後半、とりわけフランス革命を契機とする近現代の歴史のなかで、両国の敵対関係はいかにして友好関係へと変化したのであろうか。また両国の関係は各々の国民国家形成やナショナリズムにどのような影響を与えたのであろうか。さらに、敵対関係のなかの交流、友好関係のなかの緊張にも留意し、本講義では政治外交面に限定せず、社会、文化をも対象としながら、二国間関係のもつ重層的かつ複合的な性格について考察する。

授業の目的・内容

・ヨーロッパ近現代史を各国史の集積としてではなく、相互関係の観点から理解できるようになる。
・対象となる二国双方の状況に目を配ることによって、複眼的な歴史理解ができるようになる。
・国家間の関係を政治外交面だけではなく、社会、文化などを含めて重層的に理解できるようになる。

授業計画

1 ガイダンス
2 敵対関係の始まり?フランス革命、ナポレオンとドイツ
3 対立の深化(1)普仏戦争とドイツ統一
4 対立の深化(2)アルザスとロレーヌ
5 「帝国」と「共和国」:19世紀後半の独仏関係
6 「敵から学ぶ」、「愛すべき敵」?19世紀後半における独仏間の相互参照と文化交流
7 学生の発表
8 第一次世界大戦とドイツ、フランス(1)開戦への道
9 第一次世界大戦とドイツ、フランス(2)長期戦のなかの社会
10 「2つの共和国」、「2つの戦後」?両大戦間期のドイツとフランス
11 パリとベルリン―両大戦間期の文化
12 第2次世界大戦とドイツ、フランス
13 「宿敵」から「親友」へ?第二次世界大戦後のドイツとフランス
14 第二次世界大戦とホロコースト、共通の記憶?
15 (まとめ)20世紀の終わりとドイツ、フランス、ヨーロッパ

授業方法

本科目では講義が中心となるが、テーマに応じて学生による報告や討論も取り入れる。

準備学習

教科書として挙げた文献は、授業2回目までに目を通しておくこと。
各回の内容については、事前に文献を適宜指示するので、それを読んでおくこと(約1時間)
授業後に配布した資料の必要部分を読み返し、疑問点についてまとめておくこと。

成績評価の方法

レポート:50%(授業内容をふまえつつ、参考文献を使用しながら、提示した課題について考察を行う。)
小テスト:20%(扱うテーマについての歴史的背景となる基本的知識についての確認(4回程度))
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):30%(報告や討論への参加)

谷川稔『国民国家とナショナリズム』(山川世界史リブレット)、山川出版社1999
本講義には厳密な意味での教科書はない。上記の文献は、本講義の出発点となるテーマについての基本文献であり、受講に際して事前に読んでおくことが求められる。

Carine Germond / Henning Tuerk, A History of Franco-German Relations in Europe. From "Hereditary Enemies" to Partners, Pargrave, 2008
ミヒャエル・ヤイスマン『国民とその敵』(山川レクチャーシリーズ)、山川出版社2007
ギヨーム・ル・カントレック / ペーター・ガイス『独仏共通歴史教科書(現代史)』、明石書店2008
各回のテーマに関する詳細な参考文献については、授業時に配布する。また、参考文献3については近代史篇が授業開始時には刊行されている予定であり、それも参考文献に含まれる。

第1回目の授業に必ず出席のこと。