哲学演習
現象学的コロキウム(III)―
131-F-100

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
酒井 潔 教授 4 D/M 通年 5

授業概要

 昨年度に続きハイデッガー全集第84・1巻所収の「ライプニッツ演習準備メモ」(In: Martin Heidegger "Seminare: Kant-Leibniz-Schiller" GA 84.1,Frankfurt 2013) をテクストとして取り上げながら、「現象学的に」思索することの実地訓練をさらに重ねて行きたい。今年度は、昨年度の継続として、「同演習準備メモ」に付けられている「プロトコル」("Anhang 2.Protokolle zu den Seminaren")のなかの、「第7回プロトコル」の途中から(S.613,Z.8)始める。ハイデッガーのライプニッツ解釈について精確に理解することをまずは目指す。しかしさらに、そこで論じられている諸問題について、われわれなりに「一切の先入見を排し」、あくまで「事象そのものに即して」思索して行く。
 「プロトコル」を読了後、もし時間がゆるせば、再びハイデッガーの「演習準備メモ」から、その"IX. Begriff der Kraft. Bewegung und Koerper (S.467ff.)について、導入的な解説を行う予定である。
 あわせてこの全集第84・1巻の編者ギュンター・ノイマンが、とくにこの<ハイデッガーのライプニッツ受容>の問題について最近発表した二篇の長編論文(2016、2017)も読みたいと考えている。
 なお、個々の論点によっては、ハイデッガー以外の現象学者のライプニッツ受容にも、とくにフッサール、フィンク、ロムバッハらのモナド論にも考察を広げ、彼らの各著作中の該当部分を読むことも視野に入れておきたい。
 また、ゼミの大学院生に各自のテーマについて研究発表をしてもらい、それに対し発表の方法やスキルについて指導を行い、内容的に必要なコメントを与える。そしてそこで話された各テーマについて受講生全員で議論する。
 

到達目標

ドイツ語哲学原典の読解力のさらなる強化。ハイデッガーのライプニッツ解釈について、これまで未刊行だった新しいテクストを用いながら学ぶ。「現象学的」に思索し、説明し、議論する力のさらなる向上。

授業計画

1 イントロダクション:
ハイデッガーのライプニッツ受容(概要)
2 テクスト(Martin Heidegger "Seminare: Kant-Leibniz-Schiller" GA 84.1,Frankfurt 2013)読解
〔「第7回プロトコル」(S.613.Z.8から)〕
3 「第7回プロトコル」
4 「第8回プロトコル」
5
6
7
8 「第9回プロトコル」
9
10
11
12 研究発表(1)
13 研究発表(2)
14 研究発表(3)
15 第一学期のまとめ
16 テクスト(Martin Heidegger "Seminare: Kant-Leibniz-Schiller" GA 84.1,Frankfurt 2013)読解
17 「第10回プロトコル」
18
19
20 「第11回プロトコル」
21
22 「第12回プロトコル」
23
24
25 「第13回プロトコル」
26
27 研究発表(4)
28 研究発表(5)
29 研究発表(6)
30 一年間のまとめ:ハイデッガーにおけるライプニッツ問題とは何か
受講者と相談の結果、あるいは受講生の研究発表の希望に応じて、授業計画(内容および進度)を一部変更する可能性がある。

授業方法

参加者全員による輪読形式。毎回のプロトコルの作成と発表。そして質疑応答およびディスカッションを行う。さらにゼミ生自身のテーマについての研究発表を適宜実施し、全員で議論し、発表、論文作成について必要な指導を行う。

準備学習

十分な予習・復習はもちろん、すべてにおいて各自の主体的・積極的な取り組み、そしてレベル・アップが求められる。

成績評価の方法

平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):100%(プロトコル、訳読、質疑応答、研究発表、ディスカッション、その他)
プロトコル、訳読、質疑応答、ディスカッション、研究発表他により、総合的に判断して評価する。
※博士前期課程と博士後期課程、それぞれの基準に応じて成績評価を行う。

教科書

Martin Heidegger, Martin Heidegger Gesamtausgabe, Bd.84.1, "Seminare: Kant-Leibniz-Schiller", (Martin Heidegger Gesamtausgabe ) 1st Edition, Vittorio Klostermann, 2013, ISBN:9783465038115
授業で使用するテクストについては、第一回の授業時に指示する。

参考文献

Martin Heidegger, Metaphysischer Anfangsgruende der Logik im Ausgang von Leibniz (SS1928), (Gesamtausgabe Bd.26) 2nd Edition, Vittorio Klostermann, 1990
Renato Cristin/Kiyoshi Sakai, Phaenomenologie und Leibniz, (Orbis phaenomenologicus), Alber Verlag, 2000, ISBN:3-495-48035-8
酒井潔『ライプニッツのモナド論とその射程』、知泉書館2013年、ISBN=978-4-86285-155-0
秋富・安部・古荘・森編『続ハイデガー読本』第1版、法政大学出版局2016
酒井潔『世界と自我-ライプニッツ形而上学論攷ー』、創文社1987
その他の文献(欧文、和文)についても、そのつど教室で指示する。

履修上の注意

第1回目の授業に必ず出席のこと。