※日本東洋美術史特殊研究(大学院)
物語と景観―
13A-F-200

担 当 者 単 位 数 配当年次 学 期 曜 日 時 限
佐野 みどり 教授 4 D/M 通年 4

授業概要

主に中・近世の日本絵画を対象に、物語の造形化に関わる議論と、景観を描くことの意味について、様々な作例を通して考えていきます。今年度は、16,7世紀の源氏絵、伊勢絵、平家絵など、特に大画面に展開した物語絵をめぐる議論、扇絵やお伽草子系の小絵をめぐる議論、名所絵と文芸の関係性などを考察していきます。授業では、新出作例をできるだけ取り上げ解析していきたいと考えます。

到達目標

日本中・近世絵画についての広い知識を獲得し、その構造についての理解を深めて、自分の論点を見出すことが目標です。

授業計画

1 前提講義:中近世の物語絵画に関する研究現況
2 源氏絵① 土佐派源氏絵(16世紀)
3 源氏絵② 土佐派源氏絵(17世紀)
4 源氏絵③ 狩野派源氏絵①
5 源氏絵④ 狩野派源氏絵②
6 源氏絵⑤ 盛安本源氏物語絵巻①
7 源氏絵⑥ 盛安本源氏物語絵巻②
8 源氏絵⑦ 住吉派、岩佐派源氏絵①
9 源氏絵⑧ 住吉派、岩佐派源氏絵②
10 伊勢絵① サンアントニオ美術館本
11 伊勢絵② サントリー美術館本
12 伊勢絵③ 嵯峨本伊勢物語絵の図様
13 伊勢絵④ 歌絵としての伊勢絵
14 理解度の確認
15 予備日
16 お伽草子研究① 研究史と現況
17 お伽草子研究② 新出作例の紹介①
18 お伽草子研究③ 新出作例の紹介②
19 お伽草子研究④ 新出作例の紹介③
20 女性画家の問題① 居初つな
21 女性画家の問題② 勾当内侍と慶福院玉英①
22 女性画家の問題③ 勾当内侍と慶福院玉英②
23 扇の草紙研究①
24 扇の草紙研究②
25 平家絵① 新出作例の紹介(大画面)
26 平家絵② ベルリン東洋美術館本
27 名所絵と和歌文芸①
28 名所絵と和歌文芸②
29 総括
30 予備日
できるだけ、調査作品の第一次報告に取り組んでいきます。

授業方法

授業はパワーポイントを使って、画像や資料を提示する形で進めていきますが、毎回授業内容をチャート式にまとめたプリントと関連資料を配付します。(これらの資料は通年でかなりの分量になりますから、各自自分のスタイルでファイリングしておくこと)

準備学習

授業で提示した参考文献は、事前にできるだけ目を通しておくことが求められます。

成績評価の方法

第1学期(学期末試験):35%(論点や切り口の独創性)
第2学期(学年末試験):35%(論点や切り口の独創性)
平常点(クラス参加、グループ作業の成果等):30%(リアクションペーパー等の授業参加意欲)
立論の独創性と明晰なロジック

教科書

教科書は特に設定しませんが、資料や論文など、あらかじめ配布した資料の熟覧を望みます。

参考文献

佐野みどり『風流 造形 物語』第一版、スカイドア1997
佐野みどり・新川哲雄・藤原重雄編『中世絵画のマトリックス』、青簡舎2010年、ISBN=9784903996295
佐野みどり・加須屋誠・藤原重雄編『中世絵画のマトリックスⅡ』、青簡舎2014
佐野みどり監修『源氏絵集成(研究篇)』初版、芸華書院2012年、ISBN=9784990405540
TOMOKO SATOMURA, Poetry as Image:The Visual Culture of Waka in Sixteenth Century Japan, BRILL, 2016, ISBN:22102868
上記参考文献のほか、各テーマ時に適宜参考文献を提示します。

その他

各単元毎に紹介する参考文献に目を通すことが望まれます。